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「戦場のアリア」欧州人にとってクリスマスがいかに大事が痛感する映画

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メリー・クリスマス。

クリスマスなので、クリスマスにちなんだ映画の紹介でもしようかと急に思い立ち、1本だけ紹介してみようと思います。普段は旧作の紹介はあんましない当ブログですが、とても良い映画なので。
Joyeux Noel + DVD

戦場のアリアは2005年のフランス映画。原題は「Joyeux Noël」。ストレートにメリークリスマスという意味です。この映画は、第一次世界大戦のフランス北部の前線で、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍が軍が争う戦場が舞台。季節は冬でクリスマス間近。激しい戦闘を闘う両軍兵士にとって、クリスマスになれば家族の元に帰れるかもしれない、と自らを励ましながら塹壕の中で厳しい寒さと砲弾の嵐の中を過ごしていた。
しかし、戦争はクリスマス・イブになっても終わらなかった。そこで1人のドイツ人兵士がアヴェ・マリアを歌い、中間地帯に歩み出る。スコットランド軍はパイプを吹きそれに答える。そして両軍の兵士が一緒になってクリスマスを祝い、三軍の司令官はクリスマス休戦を決定するという話。

ドイツ軍は塹壕の上にクリスマスツリーを並べだしたりして、戦場のどこにそんなものを用意してたんだろうと、不思議に思うわけですが、しかしこれがいい映画でありますよ。

いくつかの脚色もありますが、基本的には第一次世界大戦に実際にあったエピソードを基に製作されています。欧州の前線のいくつかでこうした非公式の停戦があったという話が伝わっていはいますが、公式な記録には残っていないらしいこの話。当然こうした停戦は非公式なので、公式な記録に残るわけもないですが、多くの兵士が手記として残しているらしいく、そうした手記のエピソードを集めて製作されたのだろうと思われます。なので「史実」と呼ぶべきなのかどうか微妙なところではありますが、しかしもしこれが創作や伝説の類いであっても、こうしたエピソードが語り継がれる事自体に欧州人にとってもクリスマスの重要性が読み取れる気がいたします。
(英語のWikipediaにはいくつか写真が載っています。本物なんでしょうか。Christmas truce – Wikipedia, the free encyclopedia

ほんの数日の休戦。死体もそこかしこに転がるなかでの祝祭は、確かに奇蹟と呼ぶにふさわしい光景で、大変美しいのですが、停戦が開けた後には両軍は、再び殺し合う戦争に戻ります。そのつかの間の休戦がなんだったのか、というほどに激しい戦闘に再び身を投じてしまいます。第一次世界大戦が終了するのはその4年後の1918年。つかの間の奇蹟はほんの一瞬、しかも本格的に戦争が激化するのはこの後から。ドイツ軍は毒ガス兵器を投入したのは1915年、多くの死傷者を出したヴェルダンの戦いやソンムの戦いは1916年。

この映画もつかの間の休戦が終わった後の兵士たちが辿った過酷な運命を示唆して終わります。
感動的でかつ、ズシリと重いものを背負わせて終わる映画ですが、欧州人にとってのクリスマスがどれほど重要なものなのか教えてくれる作品です。

全くもって、奇蹟としか言いようのないエピソードですが、その神様の生まれた日の奇蹟を持ってしても悲劇が止まらなかった、ということを冷酷に伝える映画でもあるのですよね。だからこそ、余計にこの奇蹟が美しく見えるのですが。

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