「BORUTO -NARUTO THE MOVIE」を見てきた。僕みたいなおっさんはあんまりいなくて、小学生から高校生ぐらいまで幅広く子供を集めていた。さすが少年ジャンプの大エースだな、と。
ワンピースと並んで、長期間ジャンプを支えた看板タイトルだったが、連載も終わり最後の仕事が映画というのが映画ファンとしては嬉しい。そして最後のこの1本が、ナルトの原点というか、ジャンプの王道というか、少年が仲間とともに成長していく物語としてだったのがよかった。長期連載になると、当初のテーマが散逸してしまうことはよくある。ナルトも最終戦争が随分長くて、何を描こうとしている作品なんだっけ、となる瞬間がなくはなかったが、最後の最後は原点に戻ってきた。やっぱりこれがナルトだよな、とすごく納得のいく作品だった。
本作は連載終了後のエピソードなので、ナルトは7代目火影で、ナルトの同期もそれぞれ子供がいる。今回の主人公はナルトの息子、ボルト。火影で多忙な父にかわってもらえずひねくれた子供で父を見返したいと思っている(振り向いて欲しいという方が正確かな)。ボルトは昔のナルトそっくりだが、抱く葛藤はナルトのそれとは少し違う。多忙な火影を父に持つがゆえの寂しさであり、家族のいない孤独を抱えたナルトはまた別。忙しいお父さんと子供のすれ違いは、物語でもよく使われる設定だし、実際にそのことで悩んでいる家庭もたくさんある。夏休みに親子で連れ立って見に行くには良いテーマだ。子供も親の大変さがわかるだろうし、親は子供の寂しさを理解する助けになるだろうな、この映画は。
少し不満があるとすれば、科学忍具の扱いかな。今回の劇場版では木の葉の里の科学技術が急速に発達していて、テレビもあるし、原作の最終話の背景にも写っていたように高層ビル群なども立っている。さらには小さい巻物に忍術をコピーしてだれでも忍術を使用できる科学忍具なんてものが存在している。この科学忍具の開発担当がやたら下衆に描かれいる。そんなに下衆な存在に描かなくてもよくないか、とは思った。科学忍具の重要性アピールのためにボルトをそそのかして、使用禁止されている中忍試験に不正に使用させてしまうのだが。ボルトも父を見返すために、科学忍具にてを出してしまうのだが、「ダメ、絶対」みたいな扱われ方だなあ、と。科学の発達そのものは悪いことではない。中忍試験の時に使用禁止なのは別に構わないけど、科学忍具そのものは、いろんな人の研究の努力の結果でもあろうし、重要なのはどう使うかなのだし。ある程度科学忍具が活躍する瞬間があってもよかったんじゃないかな。
大事なことは、忍者としての意思が受け継がれていくこと。ナルトとサスケが時代が変わっても忍の本質は変わらないのかどうか、みたいな賭け(というか問いか)をしているんだけど、意思が受け継がれることが重要で、その戦闘スタイルが云々ということではないのではないか。だとすれば科学忍具もなしではないよな、と思う。
とはいえ、大変面白い作品だった。普通にボルトやサラダのこれからの活躍を見たいなと思った。岸本先生連載再開しませんかね。
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