笑いにもたくさんの種類があって、面白い人達が組んだからといって、相乗効果でさらに面白くなるかどうかはやってみないとわからない部分がある。ひょうきん族とドリフが一緒にコントやったら最高のコントになるかというと、それぞれの型みたいなものがあるので、案外しっくりこなかったりするだろうし。(かつてビートたけしと志村けん出演の「たけしむけん」というバラエティ番組もあったけど、そんなに面白くなかった覚えがある)
笑いに限らないけど、「夢の組合せ」みたいなものはやっぱり心躍るものがある。むしろそれを実際に見る前の心躍ってる間が一番楽しいような気もする。
この春の映画業界にとっての「夢の組合せ」はバットマンとスーパーマンなのだろうけど、マニアックな路線でもう一つある。イギリスのコメディ映画「ミラクル・ニール」はモンティ・パイソンの現存メンバーと故ロビン・ウィリアムズが初共演を果たしている。最も声の出演だけなのだが。さらに主役はサイモン・ペッグで監督もモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ。なかなか心躍る組合せだ。
モンティ・パイソン各メンバーは宇宙人役である。彼らは人類を下等生物だとみなし、地球の破壊を検討するが、とりあえずサンプルで一人選んで全知全能の力を与えて正しい行いをするか見てみようということになる。選ばれたのがうだつのあがらない教師のサイモン・ペッグ。右手を振りかざして命令するだけでどんなことも実現する。犬のウンコに「消えろ」と命じると、ウンコ自ら歩きだしてトイレにダイブする。
ロビン・ウィリアムズはというと、このサイモン・ペッグ扮する教師の愛犬役で、右手を振りかざししゃべれと命じられ喋る能力を獲得してしまうのだが、ロビン・ウィリアムズが演じるくらいだからとにかくしゃべりまくる。ロビンの最後のマシンガントークが犬というのがなんか良い。
人類の愚かしさみたいなものを笑い飛ばすという意図なんだろうが、全盛期のモンティ・パイソンのような強烈な毒があるわけでもない。わりと肩の力を抜いてバカをやろうか、という感じで製作したのだろうか。モンティ・パイソンのブラック・ユーモアを期待してみると肩透かしかもしれない。どちらかというとドタバタなラブコメディとして作っていて、犬のロビン・ウィリアムズも可愛いし、歩くウンコも可愛いかった気がする。案外デートムービーなのかもしれない。
ぶっちゃけ「夢の組合せ」の相乗効果みたいなものは感じられない。しかし、これがロビン・ウィリアムズの遺作で、モンティ・パイソンが集まって作る最後の映画らしい。コメディの一時代を築いた両巨頭の最後が大仰に構えた大作などではないというのもあじがあっていいのかもしれない。最後なのに湿っぽさは皆無で、バカバカしさが先行しているのはコメディアンとしてあるべき姿かも。
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