シネマズPLUSでアニプレックスの解説記事を書きました。
【徹底解説】『鬼滅の刃』大ヒットに導いたアニプレックスとは? | cinemas PLUS
これはいわゆる「今さら聞けないアニプレックスってどんな会社?」というタイプの記事です。アニメファン向けというより映画ファン、『鬼滅の刃』で存在を知った方向けの解説記事です。
これを書いた動機は、今後映画産業でもアニプレックスの存在感は大きくなっていくだろうと思ったので。実写映画も本格的に手掛け始めて、アニメ産業だけでなく、広く日本のエンタメ界で大きな会社になるだろうと考えました。
記事にも書いていますが、単純な売上高なら東映グループを凌ぐ規模になっており、ソニーグループのクランチロール買収でグループ全体の中での重要度も増していくと思われます。これからどんな企業に変貌を遂げていくのか、この記事を読んで考えてみてください。
以下、メモです。
——
Thesis
なぜ映画ファンもアニプレックスに注目すべきなのか。
Point3つ
・どんな会社か
ソニーミュージックの子会社・・・沿革
傘下に3つのアニメ製作スタジオを持つ、Aー1ピクチャーズ、クローバーワークス、Boundary
どんな作品に関わってきたか
・アニメ製作の他、ゲームで大きな利益を挙げている
スマホゲームで業績拡大・・・FGO、ツイステ、ゲームの企画・開発・運営を行う「株式会社Quatro A」、アニプレックスが中国現地法人設立 作品開発やライセンス・商品ビジネス | アニメーションビジネス・ジャーナル
売上高を試算する
「Aniplex of America Inc.」を100%子会社として設立し、ドイツで合弁会社「peppermint anime GmbH」を設立、フランスで「WAKANIM」と業務提携する等、海外ビジネス展開も積極的に進めています。
映画事業が近年好調
・配給事業でヒットが生んでいる
鬼滅の刃も最初は単独配給の予定だった。
実写映画にも積極的に進出開始
夏への扉に期待・・・アニメだけでなく実写も手掛け始めた。
結論
今後、映画業界でも存在感を増すに違いない。
そして、親会社のクランチロール買収により、アニプレックスはソニーグループのソフト産業の中核になっていくかもしれない。
Intro
日本映画、興行収入上位を独占する東宝。東宝配給は近年強すぎる存在感を発揮しており、2020年の大ヒット作「鬼滅の刃」も東宝が配給しています。
しかし、本作の配給クレジットに東宝の他、もうひとつ会社が入っていたことに気がついた人もいるかと思います。その名はアニプレックス。
アニプレックスは、「鬼滅の刃」の製作元となったメーカーでソニー傘下のアニメ製作会社です。近年、アニメの大ヒット作を数多く手掛け、ゲームにも進出、さらには映画でも存在感を増してきています。
アニメファンには同じみの会社名ですが、今回は映画産業にとっても無視できない存在となってきたアニプレックスについて、書いてみたい
Body1どんな会社か
・ソニーミュージックの子会社・・・沿革
会社案内 | Aniplex | アニプレックス オフィシャルサイト
傘下に3つのアニメ製作スタジオを持つ、A-1 Picturesとクローバーワークス、株式会社Boundary
しかし、様々なアニメスタジオと組んで多くの作品を生み出している。ufotableやシャフトなど
どんな作品に関わってきたか
代表作を挙げておく
鉄コン筋クリート、るろうに剣心、あのはな、魔法少女まどか☆マギカ、fateシリーズ、空の境界、鬼滅の刃、SAO、ナルトなど
Body2アニメ製作の他、ゲームで大きな利益を挙げている
スマホゲームで業績拡大・・・FGO、ツイステ、ゲームの企画・開発・運営を行う「株式会社Quatro A」、本格的なメディアミックス企業として大きく躍進している
ソニー好調支えるスマホゲーム「FGO」の威力 | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ソニーの通期営業利益が過去最高の見通し、モバイルゲーム「FGO」が大きく貢献
「『ツイステ』ってやつがすごく流行ってるんでしょ?」という人におくる『ディズニー ツイステッドワンダーランド』流行の軌跡 https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/200826a
『ツイステ』の人気は2020年8月現在でも勢いを増す一方で、ついにはソニーの2020年度第1四半期の決算報告資料に『ツイステ』の名前が載るまでにいたった。
海外進出も積極的
アニプレックスが中国現地法人設立 作品開発やライセンス・商品ビジネス | アニメーションビジネス・ジャーナル
「Aniplex of America Inc.」を100%子会社として設立し、ドイツで合弁会社「peppermint anime GmbH」を設立、フランスで「WAKANIM」と業務提携する等、海外ビジネス展開も積極的に進めています。
海外事業トップが語るアニプレックスの海外展開とファンベースの戦略【前編】 | Cocotame(ココタメ) – ソニーミュージックグループ
売上高を試算する
【数土直志の「月刊アニメビジネス」】アニメの世界企業登場か、拡大続けるアニプレックスの挑戦 : ニュース – アニメハック
アニプレックス、18年3月期は売上・利益とも倍増 売上高2000億円、営業利益500億円超え 『Fate/Grand Order』が国内外で大ヒット | Social Game Info
比較で映画会社の連結売上高を示す。。。東宝、東映141.376百万円、松竹97.479百万円
メディアミックス企業とも比較してみる。 (株)KADOKAWA
↓
推定売上高は東映を超えて、東宝に迫る勢い
Body3映画事業が近年好調
配給事業でヒットを生んでいる
鬼滅の刃も最初は単独配給の予定だった。(文化通信ジャーナル12月号、P7)
劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-・・・25.2億円(2017年邦画8位)
あのはな・・・10.4億円
ここさけ・・・11.2億円
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅰ.presage flower・・・15億円
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅱ.lost butterfly・・・16.6億円
劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>・・・15.3億円
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song・・・19.5億円
実写映画にも積極的に進出開始
実は2010年の実写映画「時をかける少女」にも参加していて、ちょいちょい実写映画への出資もしていた。
又吉直樹原作『劇場』の製作委員会への参加。
『劇場』はアニメとは縁がなさそうな作品なので驚きがある。
『夏への扉』に期待・・・アニメだけでなく実写も手掛け始めた。
鬼滅の刃と同じく、アニプレックスと東宝が共同配給を手掛けるSF映画
そして、親会社のクランチロール買収により、アニプレックスはソニーグループのソフト産業の中核になっていくかもしれない。
ソニーのクランチロール買収、アニメ業界に何が起きるのか。|数土 直志(すど・ただし)|note
——
メモ終わり。
まず会社沿革と主な事業の基本的な部分を押さえて、最近のスマホゲームでの躍進で売上高を伸ばしメディアミックス企業として大きく成長していることを示し、映画産業への進出を記述する、という流れで構成しています。
今年公開予定の『夏への扉』の興行がどうなるか興味を持っています。『鬼滅の刃』と同じくアニプレックスと東宝の共同配給の実写SF映画ですが、これが当たればアニプレックスは本格的に実写映画も手掛けていくようになるのかもしれないと思っています。
アニプレックスの映画事業への転機になった作品として『空の境界』を挙げています。これの成功はufotableだけでなくアニプレックスにとっても大きかったんだと思います。自社配給で大きな規模で公開しなくても熱意あるファンに届ければきちんとビジネスとして成立するということを証明した作品でしたので。
あと『鬼滅の刃』の配給が当初アニプレックス自社単独配給の予定だったという記述を文化通信ジャーナル12月号から引用していますが、以下から変えます。この号は面白かったです。映倫のレイティングの話も興味深いです。
文化通信ジャーナル2020年12月号