スカパー契約者向けの月間会報誌「スカパー!と暮らす」2021年10月号の、毎月の注目映画を紹介する「映画レコメンド」にコメントが載っています。
取り上げられた作品は『仁義なき戦い』です。シリーズを通しての魅力を語った形式になっています。
日本映画の歴史に残る傑作を紹介する機会をいただけて嬉しかったです。
主に以下のようなポイントにまとめて簡潔に語りました。
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Point
実録路線とは何か
実際の事件を題材にリアリズムを重視して描くヤクザ映画の総称
なぜ実録路線が誕生したか
それまでのヤクザ映画は、任侠の美学を描く、美化されたヤクザで、リアルな実像とは違っていた。時代の混乱期に別の魅力を模索していた岡田社長が築いたジャンル
戦後の近代日本の歴史を紐解く要素
終戦直後の呉からはじまる。闇市みたいなとこで必死に生きていた人たちが生き延びるためにいろんなことに手を染めていた。それから朝鮮戦争の特需で儲かり、経済的に潤う中で裏切りが多発し、人情も義理も消えていく。その戦後の日本
原爆ドームの写真から始まる映画
食うや食わずの戦後の中から、いろんな人を出し抜いたり利用してのし上がった人々の
笠原和夫の脚本
モデルとなった美能幸三から直接話を聞き、原作にないエピソードやディテールを追加
セリフの素晴らしさ。広島弁のシェイクスピアと呼ばれるほどのいきの良いやり取り
おもちゃ屋で酒井が殺される名シーン
花や香典を撃ちまくるラスト
広島弁の迫力。。。東映の岡田社長も広島の人
狙われるもんより、ねらうもんの方が強いんじゃ
わしら、どこで道間違えたんかのう
弾は、まだ残っとるがよ
荒々しいドキュメントタッチの映像
冒頭の闇市の雑多で粗雑な感じを
手持ちカメラでテロップは入る独特の演出。
ニュース映像のような荒々しさ。偶然そこにカメラが居合わせたかのような臨場感がる
アクションシーンも様式的でなく、必死に拳銃を必要以上に打ち込むようなものばかり
ヒーローではないヤクザの姿
裏切り、金にがめつい実際のヤクザの姿。政治との癒着構造に戦後日本の発展の裏の礎となった部分が垣間見える。
俳優の魅力
菅原文太のすごみ。一人仁義のない時代に仁義を抱えて生きる男
金子信雄の小悪党ぶりがすごい。
松方弘樹の哀愁ただよう感じ、野心家でもあり、小心な部分も見せてしまう。
田中邦衛の小物感、姑息に立ち回る男を小賢しい芝居で演じている
梅宮辰夫
小池朝雄のナレーション
男同士のエロティシズム
互いの腕を切って血をすすって盃を交わすシーン
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だいたいこんな感じのことをしゃべりました。これはスカパー契約されてる方でないとおそらく読めないと思いますが、もし手に取る機会があったら、ぜひ読んでみてください。
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