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ニールセンがTV所有世帯の定義を拡大。今後何をテレビと呼ぶべきか

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アメリカの視聴率調査会社、ニールセンがまもなく、オンライン経由での視聴も視聴率の計測に含めるとの記事が出ています。

Nielsen TV Ratings Will Soon Include Viewers Who Watch Online | Underwire | Wired.com

Wired.comによると、ニールセンは視聴率計測の分母となるTV所有世帯の定義の拡大を検討しているとのことです。最低でも1つ、ケーブル、サテライト、そしてブローバンド経由でビデオやテレビを視聴可能なデバイスを所有している世帯という風に拡大されます。
インターネット回線に繋がり、テレビ番組などのビデオコンテンツを配信可能な端末があればいいということですね。これにはスマートTVボックスや、PC、タブレットも含まれることになりそうです。
アメリカではネットに接続でき、映像コンテンツを楽しめるアプリを搭載したスマートTVやセットトップボックスを導入して、ケーブルTVを解約する「コードカット」が徐々に広がりつつあったのですが、今までは、ブロードバンド回線だけに接続されていてもTVの所有世帯を見なしていなかったニールセンがコードカットも視聴率の計測に含めていく、ということになります。

ここ数年で、コンテンツを視聴するための方法は一気に多様化し、テレビのコンテンツを楽しむためにもテレビ以外の端末で楽しめる、という環境が整いつつあります。
ニールセンでは、この1年でより正確に昨今のメディア消費の事情に沿った形でのテレビ世帯の定義しなおすために、様々な調査していたそうです。

テレビのコンテンツを楽しむためにはテレビでなくても良くなる、というのは一見すると不思議な文章なのですが、製作から放送、そして実際に視聴するまでの過程がテレビは極めて限定的であったので、このような表現でもなぜか理解可能です。

放送波を受信でき、それを写し出せるデバイスはテレビ受信機しかありませんでした。コンテンツのこともテレビと呼んでいたし、リビングに置かれる端末も同様にテレビと呼んでいました。その端末の目的はただ1つ、放送局制作のコンテンツを受信することであり、放送局も過程にコンテンツを楽しむためにはその受信機でなくてはなりませんでした。
なのでテレビのコンテンツを楽しむためには、当然テレビが必要でした。ニールセンの既存のテレビの所有世帯の定義は、当然そうした環境に沿ったものでした。

今回ニールセンがテレビの所有世帯、「TV Household」の定義の拡大は、「テレビ」という単語の持つ意味を考え直すきっかけになります。コンテンツがテレビなのか、受信モニタがテレビなのか。

ブロードバンド回線に接続され、テレビやビデオを配信する能力を有した端末が対象が、テレビ所有世帯となるのであれば、デバイスとして今僕らがテレビと呼んでいる者は、厳密に言うとテレビじゃなくなるってことになるんでしょうかね。
単にモニタ?

ハリウッドレポーターによると、今年の末にはiPadなどのタブレットでの視聴も加えていきたいとのことらしいです。スマートフォンでの視聴もそのうち含めるのでしょうか。

余談ですが、テレビを巡る議論でしばしば混乱するのは、たとえばテレビはもうオワコンと誰かが言った時に、それがコンテンツを指しているのか、デバイスを指しているのか、曖昧なまま議論してしまう時があるからです。
テレビ、と言った時になにを指しているのか各人違うのですよね。デバイスを意味していたり、コンテンツを意味していたり、または放送局を意味していたり。。。そのどれについての言及なのか、きちんと明確にしないとテレビを巡る議論は、やりづらいな、と思っています。昔はそれらが一体だったので、そうした混乱は起きずらかったのですが。

ニールセンのテレビ視聴率の計測対象の拡大によって、テレビはよりコンテンツそのものを指すことになりそうですね。デバイスとしてのテレビも今後スマート化によってコンテンツとしてのテレビを写す以外の多くの役割を担わされることになるでしょうから、どう呼称したらいいでしょうね。Netflixなどのストリーミングサービスをデバイスとしてのテレビで視聴する人がドンドン増加していますし。

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