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ポール・バーホーベンがクラウドソースを活用した実験映画を製作。そこに映像制作の未来はあるか

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ハリウッドから退き、母国のオランダで映画製作に励んでいるポール・バーホーベン監督ですが、クラウドソーシングを活用した実験的な映画製作にチャレンジしていたんですって。

Tribeca: Paul Verhoeven Crowdsources an Entire Movie, Decries Hollywood Reboots
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ポール・バーホーベンがクラウドソース型映画製作に挑戦

オランダ出身ではありますが、ハリウッドで多くの名声を勝ち取った監督ポール・バーホーベン。御年73歳の彼は、かつてロボコップやトータル・リコール、氷の微笑などのヒット作を連発するドル箱映画監督でした。

ハリウッドでは、2000年のインビジブルを最後に映画を撮っておらず、2006年に祖国オランダで製作した「 ブラックブック」を最後に新作を撮っていません。80年代、90年代を通じてハリウッドのビッグネームの1人であったバーホーベン監督は2000年のインビジブルを撮った際に「スタジオの奴隷になった気がした」と言い、ハリウッドでの映画製作に疑問を持ち、母国オランダへと帰ります。

オランダで撮った歴史大作映画「ブラックブック」も傑作でしたが、その後今にいたるまで新作の話聞かれないバーホーベン監督でしたが、なにやら新しいチャレンジをしていたようです。

それは、映画の最初の5分を撮影し公開して、それに続くストーリーを一般公募するというもの。集められたスクリプトをまたバーホーベン以下プロのスタッフが組み立て、1本の作品にするというもの。1000を超える人間からのエントリーがあって、ぞれぞれのチャプターに600から700程度のエントリーが集まったそうです。

このクラウドソーシングの概念を映画製作に応用した作品のタイトルは「Tricked」といい、今年のトライベッカ国際映画祭でプレミア上映となります。製作はオランダのケーブルTV会社のZiggo。

この方法で素晴らしいアイデアを得られたのか?という質問に、バーホーベン監督はハッキリと「No」と答えたそうです 笑
でも、いくつかアイデアはユニークだったし、自分だったら思いつかないだろう、というアイデアはあったとのこと。

新しい映画製作スタイルにはなりそうもない

映画の冒頭は、ある浮気性のビジネスマンの50歳の誕生日のパーティで始まります。2人の子供と奥さんがおり、同僚と妊娠している愛人もそのパーティに出席しているという設定。バーホーベンは、綿密に投稿されたスクリプトをチェックし作品を組み立てていこうとしましたが、チャプター3の後からは投稿された作品をほとんど無視して作り上げたらしい。 笑

バーホーベンは笑いながら、「その後突然マフィアが出てきたり、エイリアンが侵攻してきたりといろんなアイデアがあったよ(笑)」と語っていたとのこと。(バーホーベンの映画ならありかも、とかちょっと思ってしまった…)
それぞれ個別に見れば、光るアイデアもあったとのことなんですが、しかし、きちんとオリジナルのコンセプトラインに沿ったアイデアでないと意味ないですからね。

結局、バーホーベンは今日の映画製作のテクニックも今までと変わりないんじゃないか、と語っています。

映画という表現の世界にはCGM的な要素の恩恵はあまりないということでしょうかね。参加してみんなでワイワイやる分には体験として楽しいかもしれないけど。しかし、多くの視点からなるアイデアを統合していくと、首尾一貫したものが作れなくなってしまうというのがバーホーベンの言い分ですかね。

おそらくこういうやり方でやるにあたって、1本の作品にまとめあげようという発想ではダメで、同一のソースから何本も作品が乱立しても構わないというやり方なら数本優れた作品が出てくる可能性はあるとおもうんですよね。脚本を公開して、自由に作品と撮っていいですよ、とするとか、長編映画をつくれるほどの映像素材を用意して自由に編集できるようにするとか。

米国アマゾンもデベロップ中のアイデアを登録・公開して世界中の人間とコラボしながら作品を発展させることができると謳うAmazon Studioという試み行っていますが、そこからオリジナルのユニークなアイデアが生まれ、いくつかは実際に映画化という話が動いています。しかし、コラボによるアイデアの発展事態がどれくらい上手くいっているのかというと未知数です。優れたアイデアを手軽にエントリーできるのは魅力的ですが。

※Amazon Studio関連の記事はこちら。

米国の例ですが、CMの分野ではクラウドソース的な製作を標ぼうしているPoptentというサービスがあって、これはある程度利用されています。これは映像クリエイターが無料で登録して、企業は自社のCMの企画を公募できるようになっています。使用可能な企業ロゴなどは登録者に提供され、作品を作ってエントリーして企業側が一番気に入った作品を買うことができる仕組み。
企業と映像クリエイターの新しいマッチングサービス、Poptent

アイデアを出し合うことはできても、ビジョンの共有というのが難しいんですよね。だから映画の監督って1人なわけだし。なのであり得るのは素材の共有みたいなとこなのかな、と思うわけです。

今回は取り留めのないお話となりましたが、とりあえずポール・バーホーベン監督の完全な新作が早く見たいです。

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