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レミ・シャイエ監督最新作『カラミティ』のレビューを書きました

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 リアルサウンド映画部に『ロング・ウェイ・ノース』のレミ・シャイエ監督の最新作『カラミティ』のレビューを書きました。

 芸術と娯楽に求めるすべてがここに 『カラミティ』が描く、自由に生きることの素晴らしさ|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 今年屈指のアニメーション映画だと思います。前作も素晴らしかったですが、今作も本当にいい映画でした。

 カラミティとは、西部開拓時代の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンのことで、彼女がガンマンとして名を挙げる前の少女時代の話を描いています。物語そのものは創作ですが、ジェーンの個性がどのように形成されていったのかを膨らませて作ったという感じです。

 色彩豊かで躍動感があり、フォービズムに影響を受けた絵柄は本当に美しいです。娯楽的でもあり芸術的でもあり、記事のタイトルは煽りではなく本当にそうなんです。

 とにかく素晴らしい作品です。レミ・シャイエ監督の映画は是非一度見てください。

 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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メモ
レミ・シャイエ監督の前作『ロング・ウェイ・ノース』は、前人未到の北極航路に挑む勇敢な少女を、豊かな映像美で描いた作品だった。今作は、舞台をアメリカ中西部の雄大な大自然へと変え、再び少女の冒険譚を瑞々しく描いている。

今作もやはり少女の冒険譚であることが共通している。少女とアドベンチャーという点で、スタジオジブリ作品を連想する人も多いだろう。実際、『ロング・ウェイ・ノース』は高畑勲監督に絶賛され、DVDはジブリ美術館からリリースされているが、宮崎駿や高畑勲がジブリ以前から描き続けてきたような、健全で快活な少女像と多くの共通点が見出せるだろう。

もう一つ注目点を挙げると、髪をとかすという女性的なしぐさが本作には2回登場するが、いずれも彼女のターニングポイントとなることに注目してほしい。一回目はネガティブに、二回目はポジティブに作用する。この辺りのバランス感覚に優れているのもシャイエ監督のセンスが良い点だ。
 
 

Thesis
自由を求めた少女のアドベンチャー
勝気な女の子が、カラミティ・ジェーンと呼ばれる伝説のガンマンになるまで

 
 

Point3つ
レミ・シャイエ監督の作風
 自由を求めた女の子の冒険活劇・・・前作との関連
 アニメーションの画風の魅力・・・高畑監督の評、井上さんの評
カラミティ・ジェーンとは何者か、何を象徴する存在か
 監督のコメントを引用
 自分の考え、、、西部とは自由を求める開拓者が作り上げた物語。。。その中で女性という立場でそれを実行した存在だった。西部にも女性に対しては抑圧があった
物語評
 スカートとズボン
 衣装の変遷に注目
 目線の高さが示す不平等
 男たちは馬上からジェーンたちに話す、ジェーンは降りて目線を合わせる
 斥候・・・・新しい道を切り開くというイメージを持たせた

 
 

Intro
フック、、、何に興味を持ってもらうか。どの層に差したいか考える

公開情報
作品情報:2021年9月23日公開
概要:『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督作品。アヌシー国際アニメーション映画祭2020で長編ク部門クリスタル賞に輝いた作品
カラミティ・ジェーンを描いた作品。。少女時代を、有名になる前の空白期間についての物語

何を描いた作品かを一文で。
自由を希求する一人の少女を、情感豊かな美しいアニメーションで描いた冒険活劇。
 
 

Body1まずカラミティ・ジェーンは何者か
史実
カラミティ・ジェーンは、西部開拓時代に活躍した女性ガンマンである。プロの斥候として活躍した逸話を残し、珍しい女性ガンマンの代名詞的存在
一家の長女として、父の死後家督をついで多くの兄弟たちを養った存在で、軍隊に加わり、戦った逸話を持つ。
ワイルド・ビル・ヒコックなどと行動をともにし、波乱万丈の人生を送ったとされる人物だ。真偽不確かなものも含め、多くの伝説を残している人物だ。小説や映画の題材ともなり、数多くの物語の題材となっている。

監督はどう考え、どこに惹かれたか。何を象徴させたのか。
レミ・シャイエ監督は、「女性だからと優雅でなくてはいけないということない」と教えてくれる存在だった
野性的で生きる力に満ち溢れた存在」
現代にも通用するヒロインで、今の子どもたちは自分と重ねることができるだろう
自分がどうなりたいのかという、自分自身の本質を持っている人物として描いている

それを表現するため、どんなキャラ造形にしたのか。
負けん気の強さ:旅団の男たちに物申す存在、
優しさ:家族の面倒を看るし、情に厚い性格
好奇心:乗馬に関心を示し、旅団の外の軍人に憧れる
面倒見の良さ
女性性と男性性のポジティブな側面を併せ持った存在:快活で冒険好き、勇敢で力強く、それでいて人の痛みにも敏感で多くの人を魅了するヒロインとして描かれる。
実際のジェーンも女性であることを誇りに思っていて
あくまでフィクションとして虚構の彼女を作っている
その強くたくましいヒロイン像に、宮崎駿の作品群のヒロインを思い出す人は当然いるだろう。

 
 

Body2 監督の作風
少女のアドベンチャー。。。前作を紹介するか。
前人未到の北極航路に挑む少女の物語を豊かな映像美で描いた『ロング・ウェイ・ノース』
少女のアドベンチャーという点は、本作と共通する。強き気高く、勇敢な少女を描く監督であるレミ・シャイエ。

アニメ―ティングの魅力
輪郭線のない手描きアニメの美しさ。
輪郭線のないキャラクター描写が特徴的だ。
風景画の魅力、レイアウト力の高さ
色彩の美しさ。。。芸術的な色彩模様は、前作とはまた異なる色どりで西部開拓時代の雄大な大自然を描き出している。
青空もただの青ではなく、空の色の変化を一枚の絵で感じられるような色のまじわりをしている。前作では北国の硬い色合いを重視したが、今回は緑や青、ピンクがかる夕系や黄色い砂漠など、色合い豊かに西部を印象派の絵画のような色合いで描き出している。
彩色のセンスは、それ自体が光の存在を強烈に感じさせる。
油絵のテクニックを用いている。ゴーギャンなどにインスピレーションをもらっている
レイアウトが美しいのは言わずもがな。
芝居の見事さ、水で重くなったスカートを持ち上げるしぐさなど、繊細で伝えたいことが画面ごとにはっきりとしている。動かすことと動かしすぎないことがきちんと意図に沿ってコントロールされていて見事
2コマ打ちと基本としてアニメーション芝居も見事の一言。火を起こす、洗濯をする、髪をすく、水にぬれて重くなったスカートの重量感の違い、そして馬や犬の躍動。
 
 

Body3少女をどう描いたか
演出も実に的確だ。
目線の高低差に注目
男たちは馬上から見下ろすようにジェーンに接する。必ず、見下ろす男、見上げなければいけない女たちの構図を作る。ジェーンが目線を同じ高さに合わせられるようになるのは、彼女が馬術をマスターしたことによる。イーサンと並べるようになったのだ。
その高低差の使い方に、彼女が「這い上がる」人であることが示されている。
髪をとくと何かが起る。。。最初はネガティブな、次にポジティブなことが
男まさりなジェーンだが、史実でもスカートも履けばズボンもはく。両方を楽しんでいたのがジェーンなのだ。
そんな彼女の女性らしいしぐさの一つとして、本作で注意深く描かれるのが髪をとくシーンだ。彼女が髪をとくシーンが2回あるのだが、それぞれ彼女にとってネガティブなインパクトとポジティブなインパクトのある結果をもたらす象徴的なシーンに用いられているのが面白い。
衣装の変化に注目
史実でもジェーンは様々な服を着ることを楽しんでいたようだ。本作でジェーンは、最初はスカート、父の怪我により、馬を引くためにズボンを履き、馬を乗りこなすが、状況に応じてドレスをまとって打開する。軍服を着ていたこともあるジェーンだが、そんな彼女の衣装の移り変わりが彼女の成長と、多くの人との出会いを表しているのも注目してほしい。
 

本作は、ジェーンという希代の自由人を通して、自由と新たな道を切り開く冒険譚を美しく描く。
ジェーンは斥候として活躍した逸話を持つが、斥候という役割に、本作は、新たな道を切り開く者というイメージを与えている。自らに生き方を貫き、前例のない女ガンマンとなった彼女にピッタリのイメージだ。
何よりも自由な生き方を望んだ女の子は、やがて西部に名を轟かすガンマンとなる。その始まりの旅に観客を誘う魔法のような名画だ。

 
 
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 メモ終わり。

 本作のアートブックも販売される予定です。詳細は以下。
Riskit Webshop

 このアートブックは購入価値が非常に高いと思われます。映画は全カット美しいみたいな感じですから。ちょっとお値段は高めですけど、それだけの価値はあると思います。
 
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