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マドンナ、映画館でメール事件とトロント映画祭911事件でこれからの映画館のマナーについて考える

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Movie Theater

数日前に英語圏のツイッターでちょろちょろと話題になっていたのですが、歌手のマドンナが映画館で映画の鑑賞中にスマホ(ブラックベリーだったらしい)でずっとテキストメッセージを打っていて、これをマナー違反として、映画館のオーナーが映画ファンに謝罪するまで入館禁止、ツイートするという事件がありました。

騒動の舞台となったのは、Alamo Draft Houseというマニアックなセレクトで映画ファンにはお馴染みの映画館。ニューヨーク映画祭で「12 Years A Slave(マイケル・ファスベンダー主演、スティーブ・マックイーン監督の新作)」という作品の上映での出来事だったようで、目撃者の証言によると、黒のレースに身をつつんだマドンナが映画の前半ずっとテキストを打っていたらしいです。その真後ろに座っていた女性がそれを止めるように注意すると、逆に仕事のためだという、さらに悪態をついてきたらしい。(enslaverと言ったとか)

で、そんな事件を受けてオーナーのTim League氏が上述のようなツイートをしたわけです。ただ、このツイートの後にあれはジョークだったとツイートしています。

映画館の姿勢としてマドンナのようなスーパースターでも特別扱いしない、というのならその姿勢は素晴らしいなあ、と思ったんですが、しかし映画館での携帯機器一律使用禁止というマナーの在り方は今後どうあるべきか、は別に議論しないといけないのかもしれませんね。マドンナは仕事のためテキストを打っていたと言っていますが(本当かどうかわかりませんが)、もっと緊急な案件があった場合とか、家族の命に係わることとかの場合はどうするのが適切なのでしょうね。

で、そうした映画館の現行のマナーの在り方を皮肉ろうと思ったのか、ただキレてしまっただけなのかイマイチわかりませんが、トロント国際映画祭で映画館で映画の上映中に911(日本でいう119)に電話したブロガーがいます。しかも理由はほかの観客が電話使いまくってたから。
Man calls 911 to report cell phone use in movie theater | Technically Incorrect – CNET News

どうもプレスや業界関係者向けの上映だったようなんですが、そうするとずっとメールやテキストを打っていた人も映画業界関係者ということになります。い1分1秒でもライバルを出し抜くため、上映中から映画の情報を送っていたのでしょうか。

当のブロガー、Alex Billington氏は海賊版の盗撮だと思ったから911に電話したと語っています。そしてのちにやりすぎだったと反省しています。
それにトロント国際映画祭はプレスや関係者向けの上映の際は、携帯電話の使用を認めているようです。後にそういう風に言われたとAlexさんがツイートしています。

プレス向けでない一般のお客さんを入れての公式上映は慣例通り、携帯の使用は禁止のようです。

でもここで興味深いのは、本当に緊急案件だったらどうなっていたか、です。今回は明らかにやりすぎと言えると思いますが、携帯の電源を映画館のルール通りにオフにしていると、本当に緊急案件があった場合、困ります。
アメリカでは映画館で銃を乱射するようなのもたまにいるわけですし。

ならマナーモードにしておけばいんじゃね?と言えそうですが、日本の場合、地震緊急警報があります。マナーモードにしていてもこれはなるんですよね。子連れの女性の方がこんな質問をしています。ちなみに2011年4月7日の質問。
映画館の携帯電話 | 防災 ・災害のQ&A【OKWave】

近々子供連れで映画館に行こうと思っています

上映中は、携帯電話の音も振動も鳴らさないのが当たり前のルール・マナーではありますが、緊急地震速報についてはどうすればいいのでしょうか?

今までは、いつもメールも通話も着信音はOFF(マナーモードの振動も出ない)状態で、電源はOFFにはしていませんでした
この状態でも唯一、音が出るのは緊急地震速報だけです

今まで映画館では一度も鳴ったことはありませんが、余震が頻発しているので、鳴る可能性もあります

地震計も被災して精度が鈍っているとはいえ、現状でも30%ほどは当たっている実績もあります

音が鳴れば周りの人々も身構えることができるかもしれませんし、ヘタに鳴るとパニックになるかもしれませんし、外れれば映画が台無し

この時期、どうすればいいと思いますか?

また、余震も収まり平常に戻り、ほとんど滅多に鳴らない状況になった場合はいかがでしょうか?

僕自身はアメリカに住んでいた時、アメリカ人の映画館でのマナーの悪さに鍛えられたせいか(前の席に足乗っける人とか普通にいる)、けっこうどんな環境でも映画に集中できるようになってしまったので、携帯が鳴っても隣でメール打たれてもあんまり気にならないのですが、Alexさんみたいに気にする人は気にするし、映画館で見る映画鑑賞はリビングとは違う特別なものであってほしいという気持ちはわかります。

しかし、かつては電車の中では一律携帯電話の使用禁止だった時代もありますが、今ではそんなことは考えられませんね。映画館もいつまでも同じでいいのか、というのは考えないといけないですね。

実際、熱心な一般的なお客さんの意識はけっこう変わってきていて、昨年の調査ですけど、18から34歳の大多数が、映画を見ている最中にソーシャルメディアを使うことができれば、プラスαの視聴体験が得られると思うと回答しているんですね。いわゆるセカンドスクリーンによる視聴体験の拡張です。

日本で今年、貞子3D2という映画がありましたが、これはスマホの専用アプリをダウンロードして視聴するスマホ連動型映画「スマ4D」、という新しい試みをやっていました。
貞子3D2。スマホアプリを見ながら鑑賞する4D上映実施へ。スマホに貞子の呪いが襲いかかる!?

映画の楽しみ方自体も変わってくるし、映画館でのマナーも少しずつ時代に合わせて変化しないといけないんでしょうね。映画文化も作り手や届け手だけじゃなく、お客さんもまた映画文化の担い手なわけですから、いろんな意見も聞かないとね。

※マナーモードで緊急地震速報のアラーム音を消す方法は一応あります。
『緊急地震速報』でアラームを鳴らさない方法 – NAVER まとめ

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