[PR]

春画のドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』で石上阿希さんとプロデューサーの方を取材してきました

[PR]

 ハフポストで、春画の魅力にせまるドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』の監督にインタビューしてきました。

 いまなぜ女性に「春画」が人気なのか?その魅力を紐解く女性が作ったドキュメンタリー | ハフポスト アートとカルチャー

 春画については以前も『春画と日本人』というドキュメンタリー映画を取り上げたことがあります。あちらの作品は、春画と表現の自由をテーマにした内容でしたが、こっちの作品は春画の絵画的魅力と江戸時代にどういう風に親しまれてきたのかという文化的側面を掘り下げた内容になります。

 監督もプロデューサーも、そして出演者にも女性が多く、女性が楽しんできた春画、という側面を結構強く打ち出しています。江戸時代のころは、男女がともに性を謳歌していたという側面にスポットを当てており、これは現代に届ける意義の大きい作品だと思いました。

 作中には、たくさんの名画が登場します。その芸術的側面もたくさん見せてくれますし、非常に見応えある作品となっております。それと、プロデューサーの小室直子さんは、劇映画『春画先生』もプロデュースしています。劇映画とドキュメンタリー映画、2本作ることになった経緯も聞いています。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
———————
 
 
参考
現代日本に春画展という波紋が広がった…!『春画と日本人』大墻敦監督と石上阿希さんを迎え舞台挨拶開催! | CineBoze 関西の映画シーンを伝えるサイト|キネ坊主

春画と妖怪画のイメージが変わる? 描かれた「わらい」と「こわい」展 – エキサイトニュース

cinefil連載【「つくる」ひとたち】インタビュー vol.25 映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大監督×小室直子プロデューサー×村山えりかプロデューサー鼎談インタビュー – シネフィル – 映画とカルチャーWebマガジン

映画『トキワ荘の青春』が25年の時を経てよみがえる。担当者が語る作品への想い | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

映画『春画先生』、ドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』2作品の公開を記念して、「春画講座」「春画展」「春画フェア」開催 – ムービーコア
 
 
Thesis 性を謳歌する春画を現代女性が楽しむ理由
 
Point3つ

女性が企画、女性が監督、女性が楽しんでいる春画

女性客が多かった春画展、日本でもイギリスでも

女性にとって春画がなぜ楽しいか
 
 
Intro

今年は春画を題材にした映画が2本公開される。

春画は2013年の大英博物館での展示いらい、国内でも再評価の気運がたかまり、2015年の永青文庫での展示会では21万人を動員するほどの盛況となった。

そのうちの半数以上が女性客だった。

今回公開される映画のプロデューサーも、永青文庫で春画の魅力に触れた方だ。なぜ、現代女性の心を春画は捉えているのか、小室さんと石上さんの話を聞いた。
 
 
Body1 春画の魅力
作中、誰が春画を紹介しているのか、概要。

研究者や美術商、市井のコレクターから欧州の研究者から、現代のアーティストまで幅広い人物に取材し、春画の魅力に迫る。数多くの春画が紹介され、4Kカメラの高画質な映像で細部にまで迫っている。復刻プロジェクトに携わる現代の彫師や摺師が当時の技術に驚嘆する部分を定年に掘り下げ、当時の春画の驚くべき技術と美意識も掘り下げる。

春画は、内容も出版も多岐に渡る。大量流通前提の出版物から、豪華な一点ものの肉筆まで、有名絵師の作品から無名のものまで多種多彩な春画が紹介される。

春画は当時、笑い絵と呼ばれていたと作中で語られる。男女の性的営みを面白おかしく描いたものを皆で見て笑いながら楽しんでいたものでもあるという。

石上さんの話。
– 春画の面白さは出版物としての面白さにある。絵師が自己表現するのではなく、版元や読者、摺師、彫師など多くの人が関わり、商業として成立する点が面白い。
– 春画は現代から見ても驚くような発想があり、変わった表現が多い。例えば、性器だけで構成された絵や、幽霊や妖怪が登場するものなど。
– 当時の春画は共通の知識を元にしたパロディや表現であり、大衆性のあるものだった。伊勢物語や源氏物語、仮名手本忠臣蔵などの共有された知識を元に、性的な表現やパロディが描かれ、笑いや共感を呼んでいた。
 
 
Body2女性が企画、女性が監督したものであるということ
制作経緯について
春画先生が先に企画された。
– 春画先生の制作は、春画の解説ではなく「劇場版 春画」として、現代に春画を再現したいという発想から始まった。
– 春画についてはテレビではなかなか放送できず、映画作品として新たな視点で制作する必要を感じた。
– 春画展に行ったことで春画の奥深さに驚き、劇映画を作る過程でその広大な世界を記録しようと決意した。
– 春画展での衝撃は、日活でロマンポルノのリブートを手がけていた経験から、日本の美意識や想像力、技術の高さを再認識したことにある。
– 春画は商業商品としても制作され、そのクリエイティブな力や真面目さに感心した。
 
– 平田監督を指名したのは小室さんともう一人のプロデューサーの橋本さんの意向で、20年以上の付き合いがある。最初は平田監督が春画のドキュメンタリーを制作する話ではなく、橋本さんの紹介で話が進んだ。
– 平田監督を選んだ理由は、彼女がNHKの番組制作経験がある。適任ではないかという話になった。
– 出演者には多くの女性が出演しており、その中には春画にはまった春画ーるさんなど、興味深い人物がいる。
– 春画ーるさんは、2018年に春画に興味を持った人で、2015年の春画展には参加していなかった。
 

Body3 女性にとって春画がなぜ楽しいか
石上さん
– 春画は一般家庭からも出てくるもので、遺品整理の際に問い合わせがあることがある。特に昭和10年前後に結婚した女性が所有していた可能性が高い。
– 例えば、京都の古い商家では、70代の女性が嫁いだ時に新婚旅行から帰ってきたら床の間に春画が置かれていたという事例がある。
– 春画は縁起物として扱われ、夫婦の円満や子宝に恵まれるためのおまじないと考えられていた。例えば、春画を持っていくと夫が浮気しないと信じられていたこともある。
– 春画は性的な営みと家庭を築くことの関連性を象徴しており、性的なことをはずかしむよりも夫婦の仲睦まじさや子どもの誕生に重点が置かれていたと考えられる。
 
大英博物館での評判は、
– 大英博物館では16歳未満は保護者と一緒であれば入場可で、赤ちゃん連れの女性も春画展を楽しんでいた。
– 春画展には赤ちゃんを連れた夫婦が多く、特にまめ男のあたりで笑いながら鑑賞する姿が見られた。また、会場の半数以上が女性客であり、女性に受け入れられている雰囲気が素晴らしかった。
– シンポジウムでは、男性が1人で残りの4人が女性であり、春画が誰のための楽しみだったのかについて話された。
– 西洋のポルノと比較して、春画はお互いの尊厳、特に女性の尊厳が敬意を持って描かれているという意見が出された。女性の性器も美しく描かれており、セックスの美しさが描かれているとの意見もあった。
– 春画展では暴力的なものや子どものいるものは省かれており、見やすい展示内容が女性にも好評だった。 
 
 
現代のエロ本との違いとは、
– 現代のエロ本は、作る人も読む人も主に男性であり、そのため男性主観のものが主流である。最近は女性向けのエロ本も増えてきているが、細分化が進み、全体像を捉えるのが難しい。
– 春画は作る人も読む人も主に男性だったが、春画を作る際の根本的な目的には近代以前との断絶があり、男性や女性だけを性の消費の対象にすることは避けられた。春画には男性同士や女性同士のものもあったが、一枚の絵で世界が完結しており、男性も女性も必要であり、性器も必要であることが特徴的である。
– 近代以降のエロ本では、男性の視点が主であり、自分以外の男性がいる場面が少ない。しかし、春画では男性も女性も必要であり、絵の世界だけで完結しているため、観る者と絵の世界との距離感があり、自分と切り離して見ることができる。
 
 

Body4銀座シネスイッチでの公開
シネスイッチ銀座で公開。女性客の多い劇場。
小室さん、
– シネスイッチ銀座は美術系のドキュメンタリーがかかることもあり、女性が楽しむ性と芸術、両方の側面で興味を劇場がもってくれて公開を決定した。
– 小さい春画展もシネスイッチさんのギャラリーで開催されており、女性客も多い。
– 映画を見た後に実物を見られるのが良いと指摘され、小室さんもその点に同意し、女性客が多いことを確認した。
– 永青文庫の春画展にも女性客が多かったが、実際に会場にいった際は女性の方が圧倒的に多く、男性は後ろで控えめに見ている光景が見られた。
 
 
——————–
 
メモ終わり。

 現代のエロ本は、男性読者のみを対象としているが、春画は男女ともに楽しむものだという点が非常に重要だと思いました。エロ市場において、男性のみ対象、女性のみ対象、男女ともに対象と大雑把に分けたとして、現代は男性のみ対象の市場が大きいけど、江戸時代では男女ともに対象の市場が大きかったということなんでしょうね。この違いはすごく重要な気がします。

 春画は明治になって禁止され、廃れていったのですが、そういう男女平等な市場があったのに西洋化の中で失われていったのは非常にもったいない気がしますね。どうすれば、男女ともに対象としたエロ市場が取り戻せるのか、考えるべきなんじゃないかと思いました。

 
関連作品