『ホットスポット』は、本当にセンスがいい脚本だ。会を重ねるごとにくだらないことに宇宙人の能力を使いまくっている。しかも、そういう細かい作業とかやってくれると、ちょっぴり助かるんだよな〜ってポイントを的確についてくる。
いつものようにレストランに集まる遠藤清美(市川実日子)、葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)と高橋(角田晃広)の4人。美波がスマホの画面の透明シールを上手く貼れないからと高橋に能力を使って貼ってくれとお願いしだす。先週の体育館の天井のバレーボール取りに輪をかけてくだらない理由に宇宙人の力を使おうとする3人、どんどん遠慮がなくなってきている。
しかも、高橋はきれいにシールを貼れてしまう。確かにあれは素人には難しいから、貼ってくれるとありがたい。お店に頼むと有料はとこは多いので、なんとなく頼みたくないのもわかる。しかし、高橋さん、便利に使われ過ぎである。
今回は、さらに3人の友人がレストランに居合わせて、高橋はさらに気まずい。ああいう、知り合いの知り合いに会う瞬間って気まずい。しかも、高橋は一人おじさんで場違い感があるし、スマホに透明シールを貼っている最中だったりする。
高橋が何者なのか説明しているうちに、どんどん嘘のプロフィールが溜まっていってしまうプロセスが面白い。高橋さんは、昔、携帯ショップで働いた経験があって、卓球部と柔道部と陸上部に所属経験のある人になってしまった。
溝にハマった車を持ち上げたり、タクシーがSOSサインを出していたから助けようとしたりして、力を使いすぎた高橋さんは、例のごとく温泉に入りたいのだが、翌日はシフトじゃなかった。そこで清美も協力してこっそりホテルの温泉に入る高橋さんだが、支配人は運悪くはいってきてしまって、さあ、大変。というのが今回の内容。
この作品の台詞は本当によく出ているなと思う。絶妙にその気持わかるわあ、という感覚になる台詞が多くて、登場人物たちの心情を的確に捉えつつ、人の可笑しみがにじみ出ている。こういう台詞が書ける作家が国内にいるというのは、とても心強いというか、貴重だと思う。
それを体現する役者たちも実に肩の力の抜けた芝居を見せてくれて、いい。何もかもが作為的に感じないので、物語世界にすんなりと入っていけるし、体験的にこれは自分たちの日常の延長線上にあるものだなと思えるので、没入感が高い。日本のテレビドラマの中において、バカリズム脚本は本当に異彩を放っているし、この才能をもっと世界にも知ってほしいなと思う。
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