『情熱大陸』で俳優・アクションプランナーとしての岡田准一特集が2週にわたって放送されることになった。今回はその前編の感想を書き記しておきたい。
2⃣週連続スペシャル!
「無茶をすることで救われる」
着実に、過剰に…30年目の現在地#毎日新聞https://t.co/RM3ULTvbgL— 情熱大陸 (@jounetsu) March 1, 2025
番組では、岡田の圧倒的なトレーニング風景がまず目を引く。24キロの鉄塊を駆使し、足を床につけずに腕立て伏せを続ける。その姿は常軌を逸しているようにも見えるが、彼自身は「無茶をすることで救われる」と語る。怪我を負いながらも、自らの肉体を極限まで鍛え上げることをやめない。彼の求める「クレイジーな世界」とは、まさに自らの限界を押し広げることに他ならない。
現在、彼が最も力を注ぐプロジェクトが、主演・プロデューサー・アクションプランナーを兼任する時代劇映画『イクサガミ』だ。藤井道人監督とともに、日本のアクション映画の新たな可能性を切り拓こうとする岡田。大規模な合戦シーンの撮影では、自らエキストラに細かく指示を出し、ワンカットでの難しいアクションシーンに挑戦する姿が印象的だった。その根底には、日本のアクションを世界基準に引き上げたいという強い思いがある。
岡田のアクションへのこだわりは、日々の鍛錬に裏打ちされている。20年以上にわたる格闘技経験を活かし、独自のトレーニングメニューを確立。さらに、日本屈指のアクションチームを率い、自ら見本を示しながら指導にあたる。単なる動きの再現ではなく、キャラクターの内面をアクションで表現することに重点を置いている。ただ派手な見栄えができればいいわけではない、アクションで人間を描くということに挑んでいるわけだ。
そんな岡田のキャリアは、変わり続けることが重要だったという。14歳でアイドルとしてデビューし、24歳で俳優としての道を本格的に歩み始める。最初は自分に才能を感じられなかったが、『木更津キャッツアイ』との出会いを契機に、俳優としての自覚を深めていく。彼の信念は「変わり続けること」。43歳で独立を果たし、アイドル時代のファンには申し訳ないとしながらも、「自分はとことんやる人間だから」と語る。
プライベートでは、柔術のトレーニングに励む。週6日の稽古を続け、ついには黒帯に昇格。岡田にとって、格闘技は単なる鍛錬ではなく、演技にも生かせる「動物的本能」を養う手段でもある。彼の行動すべてが、俳優としての深みを追求するためのものであることが伝わってくる。
そして『イクサガミ』では、世界を驚かせるために自ら階段落ちを提案し、実際に身体を張って挑む。まさに岡田准一の集大成ともいえる挑戦が始まろうとしている。
岡田准一の役者業に対する姿勢はストイックというよりもクレイジー。それが番組のコンセプトだったように見えた。真田広之の『SHOGUN』について訪ねる場面があった。次は日本にいる僕らが世界を驚かせたいという岡田。本気でそう思って『イクサガミ』に取り組んでいるのだろう。彼が目指すのは、日本のアクション映画を世界水準へと押し上げること。そして、そのために自らが率先して身体を張り続けるのでだろう。
本編の終盤、「無茶をすることで救われる」という岡田の言葉が、改めて胸に響く。彼にとって無茶とは、ただの無謀ではなく、己の可能性を信じ、世界と戦うための手段なのだ。後編では、さらなる挑戦が描かれることだろう。その行方を見届けずにはいられない。
しかし、アクション演技指導で岡田准一が手本を自ら見せるシーンがあるのだが、本当に素早くて動きが洗練されている。日本を代表するアクション俳優なのは間違いない。そして、僕が思うに日本トップのアクション俳優なら、世界にきっと通用するはずなのだ。
アイドル時代の話もしているのが印象的。今見せているむさ苦しく泥臭い光景はアイドル時代は事務所が隠していたものだと笑って話す。14歳からアイドルとして商品としてやってきたことの自覚は、良くも悪くもあるようだ。悪いことばかりでなく、面白いものを届けられるという自負がそこには宿っていて、アイドル時代の経験もまた彼の血肉になっているのが分かる内容だった。