アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞のノミネートされている映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のレビューを書きました。
アカデミー賞受賞なるか。イスラエルによる人権の蹂躙の記録「ノー・アザー・ランド」が国際社会で評価される意味 | ハフポスト アートとカルチャー
本作は、パレスチナのヨルダン川西岸の町、マサーフェル・ヤッタで起きている、イスラエル人入植者たちが軍による土地の簒奪の実態を赤裸々に映した作品です。監督を務めたのは、この町出身のバーセル・アドラーさんと、イスラエル人ジャーナリストのユヴァル・アブラハームさん。イスラエルの蛮行を、パレスチナ人とイスラエル人が共同で世界にうったえているという点が、本作の肝となっています。
この2人の友情が軸になっていて、ひどい人権蹂躙が暴かれる中、この問題の解決に関して一縷の希望となっている、そんな作品です。
バーセルさんは、今も現地で行われている土地の簒奪の様子をツイッターなどで発信を繰り返しています。映画で描かれたことは全く終わっておらず、今も進行中です。
🚨🚨Another devastating morning: The occupation army stormed Masafer Yatta about two hours ago. They have demolished four houses so far, and the destruction is still ongoing.#StopEthnicCleansing https://t.co/JZOxizwNQY pic.twitter.com/nHDSuskQ4q
— Basel Adra (@basel_adra) February 18, 2025
本日(日本時間3/3発表)のアカデミー賞で受賞がなるか、注目されています。ドキュメンタリー部門では伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』 もノミネートされており、日本ではこの作品がどうなるのかについて、注目が集まっていますが、現在進行系の大きな人権弾圧の実態を個人が友情の力で戦おうとしている様を描くこの作品にも注目してほしいと思っています。
以下、原稿作成時のメモと構成案
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構成
Point3つ
イスラエル人とパレスチナ人の連帯によるドキュメンタリー
土地を奪われるとはどういうことか、本当のリアルがここに写されている
取材が成立しないこと、アメリカでの配給状況
Intro
トランプがガザをアメリカが所有し、今の住民を移住させると発言したこと
国際法違反も
米国のガザ「所有」を表明 「全住民を域外に移住」トランプ氏が提案 [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞
トランプには故郷の土地を追われることがどういうことなのか、リアリティを持って想像できているとは思えない。引っ越し程度にしか考えていないのかもしれない。
そのリアルを現場で、まぎれもない現実として撮影した映画が、『ノー・アザ―・ランド』だ。
監督を務めたのは、パレスチナ人の地元住民とイスラエルの友人だ。
パレスチナ人とイスラエル人が協力していると言うことの重要な意義と彼らが撮影した現実は、ひときわ重要な意味を帯びている。
Body1
作品の概要
2人の友情を軸にイスラエル軍と入植者たちの非道を映し出す。
そんな中で、2人の友情が微かな希望として見える。
Body2土地を奪われるとはこういうことであるということ
本作は、土地を奪われるパレスチナ人が捉えられている。
トランプが公式に権力によって大規模に行おうということの実態がこれと言える。
土地を奪われるのは、たんによそに引っ越すという次元の話ではない。何もかもうばわれるということなのだ。
行くあてのない家族は洞窟での生活を余技なくされる。病院にもいけない重症の男性は結局亡くなってしまう。
故郷の土地を奪われることのリアルを知ることができる。
‘No Other Land’ Is Nominated for an Oscar, but How Has Life Changed?
Body3 現在の状況
今も彼らはこの土地から情報の発信を続けている。土地の収奪は続いている。
取材の予定であったが、現地の情勢が目まぐるしく変化していくので、なかなか予定が立たない状況が続いた。どうも現地では断続的に入植者からの攻撃が続いているようだ。
その間にトランプの例の発言があり、現地は緊迫状況が続いている。
またアメリカの公開においては、自主配給を余儀なくされ、配給会社がつかなかったようだ。しかし全米100館以上に公開が拡大している。
本作が米国アカデミー賞の場で名前を呼ばれることがあるかどうか、
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メモ終わり。
トランプがガザをリゾート地にすると言い出して、物議を醸しましたが、土地を今住んでいる人から奪うというのは、こういうひどいことなのかとそのリアルがよくわかります。
現在、日本でも公開中です。是非みてください。
個人的には、これがアカデミー賞を受賞する意義は極めて大きいと思っています。伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』など他の候補作はまだ見れていないですが、本作はトランプ政権の今、世界が直面しないといけない現実ではないかと思います。