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「マイ・ワンナイト・ルール」最終回レビュー|愛と性の間で成海が下した決断


『マイ・ワンナイト・ルール』最終話「二人のオンリーナイトルール」は、主人公・成海綾(足立梨花)が自らの欲望と向き合い、新たな関係を築くまでの心の変化を描いた、さわやかな締めくくりとなった。

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前回、成海は前田律(木村了)と束縛しない大人の関係を続けることに同意したものの、それは単なるワンナイトの繰り返しではないと気づき、関係の継続を謝罪する。

成海は、坂崎マリ(中田青渚)が自宅を訪れた時のことを思い出す。朝食を共にする中で、女性の性欲について率直に語る場面が印象的だ。女性が受け身であるべきだという風潮や、自らの欲望を抑圧することへの疑問を投げかけるマリの言葉に、成海は自分自身の固定観念を見つめ直すことになる。その気づきの中で、成海は自らの気持ちと向き合い、前田とのワンナイトも後悔していないことを悟る。彼女にとって、それは理想的な一夜だったのだ。

一方、堂島吾郎(平岡祐太)の元には黒木リサ(花柳のぞみ)が現れ、成海への競争意識を振り返る。リサは堂島に対し、成海を箱根の視察に誘わなかった理由を問い、彼の本心を指摘する。それにより堂島は自身の迷いに決着をつけるべく、成海のもとへ向かう。そして、「本当はシンプルなことだったんだ」と、自分が成海を好きだという気持ちを告白する。成海もまた堂島への想いを認め、二人は正式に付き合うこととなる。

ここで成海は、付き合い始めたばかりにも関わらず堂島を自宅に誘う。マリの「女も好きな男を抱いていい」という言葉を思い出し、女性が積極的に性を求めることに何の問題もないという作品のメッセージが、力強く表現される。

その夜、成海の自宅で、堂島は自身の離婚の理由を打ち明ける。かつて妻・叶美琴(酒井若菜)を愛していたがゆえに抱けなくなり、その結果、美琴が他の男性と浮気してしまったことを語る。愛するがゆえに相手を性的に見られなくなるという矛盾が、彼をワンナイトの関係へと駆り立てていたのだ。

成海は、性欲は決して汚いものではないとし、「それでも、愛のあるセックスをしたいんじゃないか」と堂島に問いかける。そして、今、成海は堂島に欲情しているし、堂島もまた彼女を求めていると確認し、「だから、今夜は黙って抱かれてください」と静かに語る。

翌朝、堂島は日課のラジオ体操をしている。その姿を見た成海は、二人だけのルールを作ることを提案する。「無理をせず、気持ちよくいられる形を探していこう」という彼女の言葉には、これまでの成海の成長が表れている。

自分の気持ちにも性欲にも正直に生きると決意した成海の姿は、自らの欲望を受け入れることの大切さを視聴者に伝える。本作は、性と愛のあり方を問い直すと同時に、女性が主体的に生きることを肯定する、意義深い物語として幕を閉じた。

 
堂島の、愛するがゆえに性的に相手を見られなくなるというのは、世の中が性的なものを忌避する傾向にあるからというのもあるんじゃないか。それは相手を大切に思うがゆえに性的に見れなくなるという逆転現象だが、本来、性欲は汚いものではないはず。このドラマは女性の性欲を肯定的に描くことを目指した作品だが、最後に男性の性欲もまた汚いものではないとしたことがすごく良かったと思う。

愛と性の物語として、片意地はらずにカジュアルに見られる作品に仕上がっていたのがとても良い。自分にも性欲にも正直に生きていこうと決意する成海の成長が、とても爽やかに締めくくられていた好感した。

マイ・ワンナイト・ルール 10 (恋するソワレ+)

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