フジテレビのテレビドラマ、清野菜名主演の「119 エマージェンシーコール」の最終話は、それほどドラマとしての起伏は大きくなかったが、これからも司令官成員たちの仕事は続いていくという、余韻を残して終わった。
※1話&2話のレビューはこちら
※3話のレビューはこちら
※4話のレビューはこちら
※5話のレビューはこちら
※6話のレビューはこちら
※7話のレビューはこちら
※8話のレビューはこちら
※9話のレビューはこちら
※10話のレビューはこちら
前回、沢城みゆきの声で「あなたたちの無能さを証明してあげる」という不穏な通報が入り、放火事件の単独犯説に疑問が生じたところで幕を閉じた。最終話では、この事件の背後に潜む更なる脅威が襲いかかる。
横浜シティポートビルで爆発が発生し、管制司令室は混乱を極める。通報が次々と入るなか、粕原雪(清野菜名)はビル20階にいる女性からの通報を受ける。煙を吸い込み声を失った通報者に適切な指示を送るが、ついに応答が途絶える。懸命に呼びかけるも、高千穂一葉(中村ゆり)から現場へ情報を伝えるよう指示され、無念の表情を浮かべる。
爆発による死者が出たことが判明し、堂島信一(佐藤浩市)は、事件の関与が疑われる道瀬素子(沢城みゆき)の写真を粕原を上層部に見せられる。彼女はかつて堂島が応対した通報者であり、119の管制員の対応を恨んでいた。復讐のために犯行を計画した可能性が浮上する。
粕原は自らの無力さを痛感し、道瀬の過去の通報履歴を調査するが、その執念が焦燥へと変わり、ついには立ち眩みで倒れる。堂島は「理不尽をすべて止められる人間はいない」と諭し、粕原を一時的に休養させる。実家で姉の小夏(蓮佛美沙子)と語り合い、「誰か一人の力で救える命はない。管制員はつなぐ仕事だ」という言葉に救われ、復帰を決意する。
管制員はつなぐの仕事。これが最終話の結論というか、伝えたいことになっている。その後、道瀬は自首し、消防への恨みから犯行を行ったと供述する。しかし、直後に横浜ルミナスで化学薬品を使ったテロが発生し、塩素ガスによる被害が拡大。現場からの通報に対し、粕原は的確な指示を出し、かつて心臓マッサージを拒否した通報者が今回は勇気を出して協力するなど、救命の連鎖が生まれる。
救命の連鎖は粕原の応対している案件以外にも生まれていく。与呉心之介(一ノ瀬颯)や新島紗良(見上 愛)の案件もまた、現場の一般市民に助けられて無事に命を救うことができた。
そして、堂島は道瀬の本当の狙いが司令管制センターであったことを見抜き、未然に防ぐことに成功する。彼の冷静な判断力と経験が光る場面だ。レジェンドの貫禄を最後に見せつけた。
最終話は、粕原が「自分一人では人を助けられない。他の誰かと共に助けることが大切だ」と悟る場面で締めくくられる。管制員は単なる指示役ではなく、人々の救命活動をつなぐ存在であるというメッセージが強く響く。
兼下(瀬戸康史)も管制センターに残ることにしたようだ。新島は新天地に向かい、与呉はちょっとさみしそうだが、二人の間にはロマンスが生まれそうな気配を漂わせる。この作品はラブストーリー要素を配していたが、最後にちょっと匂わせてきた。
そして、粕原はこれからも司令センターで通報を受け続ける。そんな毎日をおくり続け、一人でも多くの人をつなげ、命を助ける仕事に誇りを持って毎日を生きていく。そんな形で締めくくられた最終話だ。
大きな感動はないが、日々の仕事にしっかりと向き合うというプロフェッショナルな態度で終始描かれたのは良かったと思う。
全体的に、音だけで現場の緊迫感を上手く表現しようという試みは意欲的だったと思う。なかなかの両作だったんじゃないか。119の指令センターの知られざる仕事を見せることには成功していた。
今回の声優ゲストは山寺宏一。沢城みゆきは声だけじゃなく、フィジカルの芝居でも登場した。道瀬素子は結局何者なんだろう。その他、井上麻里奈と島崎信長のクレジットもあった。
登場人物
粕原雪(清野菜名)
高千穂(中村ゆり)
兼下睦夫(瀬戸康史)
新島紗良(見上 愛)
与呉心之介(一ノ瀬颯)
箕輪健介(前原滉)
上杉 昴(酒井大成)
田中 悠(三浦獠太)
粕原小夏(蓮佛 美沙子)
粕原春香(堀内敬子)
粕原 銀(遠山俊也)
高千穂一葉(中村ゆり)
堂島信一(佐藤浩市)