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濱口竜介監督が新作『急に具合が悪くなる』をパリで撮影へ──ヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が共演


『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞を受賞した濱口竜介監督が、次回作『急に具合が悪くなる』をフランス・パリで制作することが明らかになった。本作は、フランスの人気女優ヴィルジニー・エフィラ(『ベネデッタ』)と、日本の女優・岡本多緒(『ウルヴァリン:SAMURAI』)をダブル主演に迎え、日仏合作で進行中である。

新作の原案は実話に基づく往復書簡

『All of a Sudden』は、日本の演出家とフランスの看護師という異なるバックグラウンドを持つ2人の女性の絆を描く物語である。原案は、宮野真樹子と磯野真穂による往復書簡集『急に具合が悪くなる』に着想を得たもの。濱口監督と仏脚本家レア・ル・ディムナが共同で脚本を執筆した。

「死というテーマを通じて、ふたりの魂が出会う――そんな物語にしたかった」と濱口監督は語っている。当初は書簡による関係だった原作を、映画では実際に出会い交流を深めていく2人の女性として描き直している。

パリを舞台に“非観光的”な視点で描く

撮影の中心地となるのはパリ。濱口監督は「観光的なパリではなく、少し違った顔を見せる街を映したい」と意気込みを語っている。

本作は、フランスのCinefrance Studiosと日本のオフィス・シロウズ、ビターズ・エンド、さらにドイツのHeimat Film、ベルギーのTarantulaによる国際共同製作。フランスではDiaphanaが配給、日本ではビターズ・エンドが配給を担当する。世界販売はCinefrance International(アジアを除く)が、アジア地域はビターズ・エンドが手がけ、カンヌ・フィルムマーケットでの買い付けも予定されている。

濱口監督とフランス映画の深い関係

『ドライブ・マイ・カー』で国際的評価を得た濱口監督は、「自分の映画的なビジョンの多くはフランス映画に基づいている」と語り、シャブロルやロメール、リヴェット、ゴダールらヌーヴェルヴァーグの巨匠たちを尊敬しているという。

プロデューサーの David Gauquié(Cinefrance)は、濱口監督と初めて渋谷のカフェで語り合った際、「プロジェクトの話ではなく、フランス映画全般について深く話した」と明かしている。また、両者は黒沢清監督の2024年作品『蛇の道』でも間接的に繋がっていた。

“ユマニチュード”という橋渡し

本作の制作にあたり、濱口監督は日仏を繋ぐ概念として「ユマニチュード(Humanitude)」に注目。このフランス発祥の介護手法は、現在日本でも導入されており、「人間の尊厳を中心に据えたケア」を目指すものである。この考え方が映画にも反映されており、物語の核に据えられている。

エフィラと岡本、国際派女優の共演に注目

出演者について、濱口監督は「エフィラはポール・ヴァーホーヴェン監督作品で知った女優で、共演できることに非常に興奮している」と語る。また岡本多緒については、『ウルヴァリン』での演技とともに「日本でもキャリアをスタートさせており、非常に多才な女優だ」と評価している。

フランスでの制作準備が進行中

濱口監督は過去2年にわたり何度もフランスを訪れ、現地の俳優とのワークショップも実施。「日本とは異なる演技アプローチが非常に興味深かった」とプロデューサーの David Gauquiéも述べている。

『急に具合が悪くなる』は、濱口監督にとって『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』『GIFT』に続く国際共同制作の新たなステップとなる。アート性と国際性を兼ね備えた本作は、日仏の文化的な交差点から新たな映画体験を提示することになりそうだ。

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ソース:‘Drive My Car’s’ Ryusuke Hamaguchi Sets Next Film in Paris