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英国テレビ業界に危機、小規模制作会社の委託価値が3分の1減少 – 文化大臣が警鐘


英国のテレビ業界で「委託パターンの劇的変化」により、小規模制作会社が深刻な打撃を受けている。リサ・ナンディ文化大臣がDeloitte会議で明らかにした。

ストリーミング台頭で業界構造が一変、「才能ある制作者が失職」

ナンディ文化大臣は2025年Deloitte & Enders Media & Telecoms会議での基調講演で、英国テレビ業界の現状について「あまりにも多くの才能ある制作者が失職している」と懸念を表明した。

文化大臣によると、従来の放送視聴者数が3分の1減少する一方で、ストリーミング視聴が急増している。この視聴パターンの変化により、コンテンツ制作の構造が根本的に変わったという。

高級ドラマ制作で世界トップレベルも、中小制作会社は苦境

「テレビ委託パターンの劇的変化により、英国は高級ドラマ制作で世界のリーダーとなった。しかし同時に、小規模制作会社の委託価値は3分の1も減少している」とナンディ大臣は指摘した。

この「中間層の圧迫」は、昨年のエディンバラテレビフェスティバルでも主要議題となっていた。2025年に入ってからは、米国の共同制作会社が英国市場から撤退したことで、脚本制作への資金調達危機が深刻化している。

政府は支援策を提示、規制枠組みで持続可能な生態系構築へ

英国政府は解決策を提供していると、ナンディ大臣は強調した。最近制定されたメディア法により「公共放送事業者(PSB)により持続可能な環境を提供し、高品質なオリジナルコンテンツへの投資を継続させる」としている。

小規模委託の減少を指摘する一方で、ナンディ大臣は講演の後半で「Come Dine With Me」のような低予算番組が、「Doctor Who」や「Bridgerton」などの高級ドラマと同様に世界市場で好調な売上を示していることも言及した。

ストリーミング事業者への課税回避、「持続可能な生態系」重視

英国政府がストリーミング事業者への課税を拒否していることに言及したとみられる発言で、ナンディ大臣は英国全体でPSBとストリーミング事業者双方にとって「持続可能な生態系」を望むと述べた。

「税金や課税によって罰することはしないが、大小問わず企業にビジネス機会を創出し、英国の才能を世界に発信できる規制枠組みを確保する」と付け加えた。

ナンディ大臣の講演は、BBC最高責任者ティム・デイビー氏とNetflix EMEA責任者ラリー・タンツ氏の講演に先立って行われた。

ソース:

Dramatic Shift In Commissioning” Could Be Problem For British TV Industry, Says Culture Secretary Lisa Nandy