弁護士JPに、いわゆる同性婚訴訟、婚姻の平等裁判の担当弁護士、三浦徹也さんに話を聞いてきました。
“パートナーシップ制度”では「平等」を得られない 「同性婚訴訟」弁護士が語る“本当の”争点とは | 弁護士JPニュース
全国5地域で裁判が行われているこの婚姻の平等をめぐる裁判ですが、「違憲」(札幌・名古屋)、「違憲状態」(東京・福岡)、「合憲」(大阪)と判断が分かれています。これがどういう意味なのか、婚姻の平等はなぜ重要でパートナーシップ制度では不十分なのかなど、多岐にわたって話を聞きました。
違憲状態という言葉は、よく選挙の一票の格差問題で使われるんですけど、それとはどう異なるのか、そもそも何が争点となっている裁判なのかをわかりやすく説明していただきました。
とても勉強になる話ばかりでしたので、ぜひご一読を。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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参考
LGBT法案提出も成立不透明=当事者「周回遅れ」―同性婚訴訟 | 時事通信ニュース
結婚の自由をすべての人に – Marriage for All Japan –
– 「結婚の自由をすべての人に」訴訟(いわゆる同性婚訴訟)の現状と今後/寺原真希子 – SYNODOS
国家賠償請求訴訟の
婚姻(法律婚)には様々な法的効果(権利・義務)が付随しているところ、原告らは、それらを享受できないことで具体的な不利益を被っているからである
2023年5月30には名古屋地裁判決が、同年6月8日に福岡地裁判決が予定されている。また、札幌訴訟、東京訴訟及び大阪訴訟については、それぞれ高裁へと審理の場が移っており、今後、高裁判決が出ることになる。最終的には最高裁にて判断が下されることとなり、その時期は2024年か2025年と予想される。
① 婚姻の自由を保障する憲法24条1項(及び憲法13条)に違反する。
② 平等原則を定める憲法14条1項に違反する。
③ 個人の尊厳に立脚して婚姻・家族に関する法律を制定することを要請する憲法24条2項に違反する。
CALL4|社会課題の解決を目指す“公共訴訟”プラットフォーム
– 視標「同性婚5地裁判決」 国会は真摯に反応すべきだ 次は本物の違憲判断を 武蔵野美術大教授 志田陽子|あなたの静岡新聞
判決は「違憲」2件、「違憲状態」2件、「合憲」1件に分かれた。違憲状態は「違憲無効」という法的効果は発生させずに、現状が違憲な状態となっていることを確認するにとどめる判決だ。前進と見る声と、これでは是正につながらないと憂慮する声が交錯する。
しかし少なくとも、現状を合憲とした大阪地裁判決も含め全ての判決が、原告らが深刻な不利益を被っていることは認めている。「法的判断になじまない価値観の問題だ」として門前払いする姿勢を採る裁判所はなかった。その重要性を確認しておきたい。
– 福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画:名古屋地裁・福岡地裁判決を受け、直ちに、すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める会長声明
LGBT理解増進法とは
「LGBT理解増進ではなく、理解”抑制”法案」。パートナーシップ制度の抑制も意味する、その問題点とは? | ハフポスト NEWS
修正内容の一覧がある
もはや「LGBT理解抑制法」与党と維国の再修正案が衆院内閣委員会で可決(松岡宗嗣) – 個人 – Yahoo!ニュース
LGBT当事者の訴え「理解増進」ではなく「差別禁止」を 相次ぐ公人の差別発言“LGBT法案”の行方は?【news23】 | TBS NEWS DIG (2ページ)
– 【判決要旨全文】「違憲状態」と東京地裁が判断した理由は? (結婚の平等裁判) | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6386e461e4b06ef4a549b5af
(6)以上の点を総合的に考慮すると、現行法上、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害であり、個人の尊厳に照らして合理的な理由があるとはいえず、憲法24条2項に違反する状態にあるということができる。しかしながら、そのような法制度を構築する方法については多様なものが想定され、それは立法裁量に委ねられており、必ずしも本件諸規定が定める現行の婚姻制度に同性間の婚姻を含める方法に限られないことからすれば、同性間の婚姻を認めていない本件諸規定が憲法24条2項に違反すると断ずることはできない。
東京高裁「同性婚訴訟」の控訴審はじまる 「周囲の理解進んでも制度の壁ある」原告らが意見陳述 | 弁護士JPニュース
「パートナーシップ制度」人口カバー率が70%超に。LGBTQ当事者から「国も早く結婚を認めて」の声 | ハフポスト NEWS
トピック1)同性婚訴訟の経緯
2019年から開始、何を争っているか
憲法14条1項、24条1、2項
これまで5都市で5件の判決がでている。
違憲判決2、違憲状態2、合憲1と判決内容が分かれている
↓
これが意味することは何か。
トピック2)違憲と違憲状態の違いとは
この判決が何を意味するか
違憲と意見状態の違いとは
↓
これが何を意味するのか、法改正を求められる?
↓
今後の展開、控訴審、最高裁までいく?
トピック3)LGBT理解増進法との関わりは
この法案の成立は、今後の裁判に影響あるのか。
質問案
各地の地裁判決が意味することは何か。違憲が2、違憲状態が2、合憲が1ということをどう評価するのか。
地裁の判決は期待を下回ったか、それとも上回ったか
同性婚訴訟について、婚姻に相当する制度では問題がある理由とは
婚姻に相当する制度で問題が発生している海外の例にはどんなことがあるのか
控訴審で争点になりそうな点はなにか
最高裁まで争うことを想定しているか
LGBT理解増進法は、裁判に何か影響を与えると思うか。
パートナーシップ制度の人口カバー率が70割を超えた。これは同性婚のために喜ぶべきところか、それとも、国民がこれでいいじゃんとなってしまうのか。
同性婚が認められることで異性愛者に何か影響はあるのか、法的に、または社会的に。
構成7月20日
Point4つ
地裁判決の総括と本当の争点
違憲と違憲状態、なぜ違う?
なぜ婚姻に類する制度ではダメなのか
社会的承認と人権
Intro
同性婚訴訟は全国5つの都市で審議中、東京でも高裁がはじまったばかり。
この5つのとしては判決が違憲や違憲状態など、分かれており、ややこしい。
そもそも、何が争われており、争点は何か、社会に与える影響は何かなど、実際に弁護団として裁判を戦われている三浦徹也先生に話を聞いた。
これまでの地裁では、何が認められ、何が認められていないのか、高裁以降では何が争われるのか。原告が求めているものが何か
なぜ、同性婚が認められることが社会にとって大切なのか、
Body1地裁判決の総括と本当の争点
判決の評価
札幌地裁の判決は早く出されたが、心理的ハードルの高い違憲判断が期待以上に宣言されたことは良かった。
しかし、判決が問題の本質に迫らず、より踏み込んだ内容を期待する声がある。
判決結果の概要
違憲が2件、違憲状態が2件、合憲が2件であるが、家族としての保護を与える制度がないことが共通の問題として指摘されている。
地裁判決の不足
判決は違憲だが、婚姻についての違憲判断はなく、家族になれないことが違憲であるとの指摘。
家族になる制度の具体的考え方
現在の日本では婚姻制度しかないが、同性カップルもこの制度に参入すべきとの立場。
現行の婚姻制度は特別な地位を与えているが、同性カップルには別の制度を求められる理由がないとの主張。
法的な観点からどのように制度を構築するか、弁護団として工夫している。
Body2 違憲と違憲状態
違憲と違憲状態の説明
違憲状態の使用は地裁レベルでも一貫性がなく、用語の混乱がある。
違憲状態の使用は必要ないとの意見があり、判決自体が違憲であることを示している。
違憲状態の比較
一票の格差訴訟における違憲状態の例を挙げ、規範のグラデーションによる判断を説明。
今回の訴訟は家族制度の問題を扱っており、明確に違憲と判断すべきだと指摘。
メディア報道の違憲と違憲状態の表記について
違憲と違憲状態の区別にメディアでの混乱があるが、今回の話では違憲と書いても問題ないとの見解。
Body3 婚姻に類する制度ではダメな理由、婚姻を認めるべき理由
– 婚姻制度への含蓄
– 弁護団と原告の主張は、婚姻制度に同性愛者を含めることを求めている。
– 同性愛者の共同生活における実態は異性愛者と変わらないとの前提がある。
– 婚姻制度は様々な目的で利用されており、同性カップルに対する制度の選択肢が制限されている。
– 婚姻制度の重要性と平等性
– 婚姻制度の平等は、人種差別に関連した過去の裁判例からの学びがある。「分離すれども平等」は間違いだとブラウン判決は指摘した
– 現在の婚姻制度が同性愛者に閉ざされていることは、平等の原則に反する。
– パートナーシップ制度の問題
– 現在の自治体のパートナーシップ制度は、法的効果を伴わないため不十分。
– パートナーシップ制度が全国的に法的効果を持つようになると、マイノリティに対する差別感情を助長する可能性がある。
– 反対意見の根拠
– 反対意見は、伝統的な価値観や偏見に基づいている可能性がある。 婚姻制度は子供を生むため?
– 地裁での争点は、婚姻制度への社会的承認の有無に関するものであり、偏見や差別感情が潜んでいる可能性がある。
– 控訴審での議論
– 婚姻制度における社会的承認の根拠について、控訴審で正面から議論する必要がある。
Body4 社会的承認と人権
– 社会的承認と世論調査
– 最近の世論調査では、同性婚を認める人が過半数を超えており、自民党支持者でも過半数を超えている。
– このため、社会的承認に関する根拠が不明確であり、裁判でも議論されていない。
– 控訴審での社会的承認の争点
– 社会的承認について、憲法解釈や人権の観点から多数決ではなく個々の権利に基づいて考慮されるべきである。
– 世論が同性婚を支持していることから、社会的承認があるとみなすことが適切である。
– 控訴審では、社会的承認の他にも婚姻に相当する制度や家族に関する法制度についての議論が重要となる。
Body5不利益なんてない
– 同性婚の認容と異性愛者への影響
– 同性婚の認容により、一般の異性愛者には何ら不利益が生じない。
– 反対理由を見つけることが難しくなる。
– 社会的承認と法的制度の関係
– ニュージーランドの国会議員の演説や名古屋地裁の指摘によれば、同性婚による弊害は証拠が示されていない。
– 憲法24条1項に「婚姻」という言葉が記載されており、その解釈が重要。
– 婚姻制度と自由の関係
– 婚姻制度の存在により、結婚するかしないかの自由を行使できる。
– 同性愛者には現在その選択肢がないため、結婚を選ぶ自由も制限されている。
– 積極的な結婚の選択肢が同性愛者にはないこと
– 同性愛者には結婚の選択肢がないため、結婚しない自由を行使することもできていない。
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メモ終わり。
自由とはなにか、それは選択できることだと思います。結婚という選択肢も、結婚しないという選択肢も今同性カップルにはないんですよね。結婚できないので。結婚したくない人にとっても選べていない状態なんだよな、と話を聞いて思いました。
東京では、2次訴訟もあり、もう一個地裁で裁判が進行中です。他の地域でも控訴審が始まります。どんな判決が出るのか、すでに社会は同性婚を容認しているといっても間違いではないくらい、変わっていて、法律だけが変わっていない状態です。立法府は早く法改正に着手すべきだと思います。
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