『情熱大陸』の岡田准一特集の後編が放送された。新作映画『イクサガミ』の撮影風景も多く写され貴重な映像が多かった。その内容をメモしておきたい。
前編はこちら。
「情熱大陸」岡田准一特集前編:「イクサガミ」で世界基準のアクション作りに挑む。アイドル時代の話も – Film Goes with Net
岡田准一は、俳優として、アクションプランナーとして、そしてプロデューサーとして、己の限界に挑み続ける。『情熱大陸』後編では、彼の壮絶な撮影現場と、映像表現に対する妥協なき姿勢が克明に描かれた。
現在、岡田は大作映画『イクサガミ』において、主演のみならずアクションプランナーとプロデュースも兼任している。本作ではスタントマンを使わず、長回しで壮絶なアクションシーンを撮影するという大胆な挑戦が行われた。そのシーンは神社へと続く長い階段でのシーンだ。通常ならばカットを割って誤魔化すところを、岡田はすべてワンカットで収めることを提案し、自らも階段を転がり落ちることを決意した。しかし、このシーンでは群衆も一緒に落ちるため、撮影は困難を極めた。スタッフの負担を考えた提案にも「ぬるい映像ではだめだ」と一切妥協せず、最高の映像を追求し続ける。
この過酷な撮影が続く中で、岡田の身体にも疲労の色が見える。手足のしびれを訴えながらも、彼の目は決して揺るがない。その姿勢の根底には、彼の生い立ちが関係しているのかもしれない。ピアノ教師の母に厳しく育てられ、アイドルとしての道も母が勝手に応募したオーディションがきっかけだったという。母の教育方針は「自立して生きられるように」との願いが込められたものだった。岡田はその厳しさに感謝していると語る。
監督の藤井道人は、撮影の過酷さに思わずストップをかけるが、岡田は「最後にもう一回」と納得のいくまで挑戦し続ける。その真剣なまなざしで映像をチェックする姿からも、彼のこだわりの強さが伝わる。岡田は「日本人にもこんな面白いものが作れるんだ」と世界に示したいと語る。その想いが、彼を極限まで駆り立てているのだろう。
さらに岡田は、新たなプロジェクトにも着手している。仏師であり現代アーティストの加藤巍山を訪ね、その仕事ぶりをカメラに収めることで、世界へと発信していくプロジェクトを立ち上げたという。この取り組みには、岡田自身が加藤の創作活動にシンパシーを感じていることが背景にあるようだ。
また、今年1月からはピアノのレッスンを始めたという。新たな映画『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』のためであり、ジャズピアニストの役作りに取り組んでいる。母に教わっていた幼少期を思い出しながら、今はピアノの練習を楽しんでいると語る。
『イクサガミ』の編集作業では、日本の若いクリエイターが「すごい」と思われるような作品を目指し、さらに攻めるべきだと熱く語る岡田。彼は自らを「まだ未完成」とし、「54歳からが全盛期」と宣言する。その言葉には、さらなる高みを目指す岡田の決意が込められていた。
彼は常に挑戦し続ける。限界を超え、日本映画の可能性を押し広げるその姿は、多くの人々に刺激を与えるだろう。岡田准一の挑戦は、まだまだ終わらない。