2025年に公開されたマーベル映画『サンダーボルツ*(Thunderbolts*)』で再びイェレナ・ベロワを演じたフローレンス・ピューが、本作に込めた思いと、役柄の内面に迫る演技についてVarietyで語っている。物語の核心には“トラウマ”と“贖罪”というテーマがあり、従来のMCU作品とは一線を画すヒューマンドラマが展開される。
史上2番目に高いビルからのダイブ──マレーシアでの壮絶スタント
ピューは本作の冒頭、マレーシア・クアラルンプールにある118階建ての超高層ビル「ムルデカ118」からのダイブを自ら敢行。マーベルのスタントコーディネーターであるハイディ・モーニーメイカー氏、ベースジャンパーのケイティ・ハンセン氏とともに、このスタントでギネス世界記録を樹立した。
「これは私一人の挑戦ではなかった。チーム全員が関わった達成だった。あの日の撮影は、映画の幕開けにふさわしい力強い瞬間だった」とピューは振り返る。
アンチヒーロー集結、そして“孤独”と“共感”の物語へ
『サンダーボルツ*』は、イェレナのほか、バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)、レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)、ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)、ゴースト(ハンナ・ジョン=カーメン)、タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)らが集結する“問題児チーム”の物語だ。
「この映画は、ただのアクションではない。恥や喪失、心の痛みと向き合う人々の物語であり、観客にとっても救いになるはず」とピューは強調する。特に、イェレナが心の拠り所となる“チーム”を得るまでの過程が、彼女の孤独と共感性を鮮明に描く。
「叫び合って、ようやく愛を伝えられる」──父娘の感情の爆発
物語中盤、イェレナとレッド・ガーディアンの感情がぶつかるシーンが登場する。ピューとハーバーは脚本にあった軽妙なやり取りに満足せず、「もっと深い話をさせるべきだ」と提案。結果、長年触れられなかった“ナターシャの死”をめぐって2人がぶつかり合い、最後には和解する感動的な場面が生まれた。
「グリーフ(悲嘆)は醜くて、恥ずかしくて、苦しいもの。でも、それがあるからこそ、本音でぶつかる価値がある」と語るピューは、この父娘の関係性に強い思い入れを持っていたという。
『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』に豪華キャストが集結
『サンダーボルツ*』の先に控える『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』では、ピュー演じるイェレナがフロントを担う役割へと昇格する。ピューは「彼女がようやく幸せを感じていることを願っている。再び彼女の魅力的な明るさを見せられる機会になるはず」と期待を込めた。
さらにロバート・ダウニー・Jr.、ポール・ラッド、ペドロ・パスカル、パトリック・スチュワート、イアン・マッケランといったレジェンド俳優たちの出演が明かされた際には、「ナッツソース(狂気の沙汰)!」と驚きを隠さなかった。