「探偵みどりシリーズ」堂々の四冠達成! 切なく痛い“真実”を描いた傑作連作短編集
本格ミステリ作家クラブが主催する「第25回本格ミステリ大賞」(小説部門)の受賞作に、逸木裕による連作短編集『彼女が探偵でなければ』(KADOKAWA刊)が選ばれた。本作は、2024年9月に刊行され、すでに「リアルサウンド認定2024年度国内ミステリーベスト10」第1位などを受賞しており、今回の受賞によって「探偵みどりシリーズ」としては四冠を達成したことになる。
「探偵みどり」が描く“真実”と“痛み”の物語
主人公・森田みどりは、逸木裕のデビュー作『虹を待つ彼女』(第36回横溝正史ミステリ大賞受賞)から登場してきたキャラクターであり、社会人として、家庭人として、そして職業探偵として生きる姿を描いてきた。『彼女が探偵でなければ』では、二児の母となり、探偵社で部下を育てる立場となった彼女が、子どもたちを取り巻く5つの事件を通じて、自らの探偵人生と真正面から向き合う。
時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)――子どもを中心とした謎と痛みを扱いながら、謎解きの果てにある真実と、その代償が静かに胸を打つ。
書評家・書店員からも高評価
本作は書評家からも高く評価されており、杉江松恋氏は「物語の情動と謎の関心が見事に合致している」と評し、千街晶之氏は「これぞ完璧なミステリだ」と絶賛。若林踏氏も「本格謎解き短編としても粒ぞろい」と高評価を寄せている。

また、全国の書店員からも「謎を解くことで傷ついていく主人公の姿に心を揺さぶられた」「真実を暴くことが必ずしも幸せをもたらすとは限らないが、それでも向き合う姿勢に感動した」といった声が寄せられており、本作が多くの読者に深い印象を残していることがうかがえる。
逸木裕「今後もより優れた作品を」
受賞を受け、逸木裕は次のようにコメントしている。
「森田みどりは、デビュー作からずっと書き続けてきた探偵です。社会人であり家庭人でもありながら、探偵であるという宿痾から逃れられない彼女を通じて、私も色々な景色を見させてもらいました。今後もより優れた作品を目指し、本賞に恩返しできればと思っております」
書籍情報
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書名:『彼女が探偵でなければ』
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著者:逸木裕
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発売日:2024年9月28日(土)
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定価:1,980円(本体1,800円+税)
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判型:四六判並製
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頁数:336ページ
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ISBN:9784041134771
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装画:げみ
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収録短編:「時の子」「縞馬のコード」「陸橋の向こう側」「太陽は引き裂かれて」「探偵の子」
▼公式サイト:
https://www.kadokawa.co.jp/product/322211000502/
▼「時の子」全文特別公開中:
https://note.com/kadobun_note/n/n929ca5fe870b
本格ミステリ大賞とは
本格ミステリ作家クラブが主催し、会員による記名投票で決定する賞。第25回の開票は2025年5月9日に行われた。
▼公式サイト:
http://honkaku.com/