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マイケル・ダグラス、政治分断を描くドキュメンタリー「America’s Burning」で警鐘 「現実は予想を上回る深刻さ」


アカデミー賞俳優マイケル・ダグラスがナレーターと製作総指揮を務めるドキュメンタリー「America’s Burning」が、アメリカの政治的分断と社会不安に警鐘を鳴らしている。

分断深まるアメリカ社会を描く話題作

同作品は2024年のトライベッカ映画祭でプレミア上映され、マイケル・ダグラスがナレーターと製作総指揮を担当している。映画にはジェームズ・カーヴィル氏やレオン・パネッタ氏などの著名な政治関係者がインタビューで登場し、対立する政治的立場の人々の間の不和を詳細に描いている。

「予想以上に深刻化した現実」

ダグラス氏は作品の時宜性について、「プレミア上映の時点では、やや大げさに受け取られた可能性があった。しかし今となっては、その後に起こったことを過小評価していたほどだ」と語った。それでも「メッセージの重要性と影響力はこれまで以上に強くなっている」と強調している。

マクロ経済アドバイザリー企業ジョンソン・スミック・インターナショナルの会長兼CEOであり、ベストセラー作家でもあるスミック氏は、楽観的な見通しを維持しようと努めている。しかし「生来の楽観主義者だが、1年前にはなかった多くの課題がある」と認める。特に「注意深く対処しなければ、我々は大きな社会的混乱から1回の景気後退分しか離れていない」と警告している。

経済格差が生む潜在的リスク

スミック氏は、世界の羨望の的である経済システムにもかかわらず、国内の富の分配をめぐる「非常に多くの根深い経済的怒り」が存在すると指摘している。「我々は素晴らしい成果を上げているが、拡散する可能性のある潜在的な癌を抱えている。厳しい景気後退が起これば、想像を絶する怒りが表面化し、人々は衝撃を受けるだろう」と述べた。

著名俳優の起用とその効果

「ウォール街」でアカデミー賞を受賞し、「強欲は善なり」の名台詞で知られるダグラス氏の起用は、製作陣にとって大きな成功だった。スミック氏は「中道左派で、国家の分断に悩んでいる人物を探していた。国民の70~80%が支持できる映画を代表する人物として、マイケル・ダグラスがリストの筆頭にあった」と説明している。

ダグラス氏は作品への参加理由について、「中間層の衰退、最高裁判所が選挙への多額の資金流入を認めたこと、超党派精神の欠如への懸念と共鳴した」と語った。

配給の困難と今後の展開

しかし、作品の配給確保は予想以上に困難だった。ダグラス氏は「超党派的で、特定の政党を標的にしない試みにもかかわらず、多くの会社が作品を恐れているようだった」と明かした。最終的にアマゾンが配給を決定したことについて、「アマゾンに感謝し、デビッドが将来を見通していたことを評価する」と述べている。

政治的野心について

1995年の映画「アメリカン・プレジデント」で印象的な大統領役を演じたダグラス氏だが、実際の政治的野心については明確に否定している。「いいえ、私は80歳です。それが魔法の年齢制限です」と冗談めかして語った。

映画の台詞について頻繁に声をかけられるダグラス氏は、「『アメリカン・プレジデント』では脚本の結末を知っていた。それが大きな違いだ」と現実との違いを強調した。

スミック氏は、必要に応じてシリーズ形式での展開も検討していると述べており、アメリカ社会の分断というテーマへの継続的な取り組みを示唆している。