ソフトバンクの新製品発表会での一番のサプライズは、このテレビサービス(というかオンデマンドビデオサービス)のスマテレでしょう。他のスマートフォンに関しては驚くような発表は特にありませんでしたし。全て4G対応というのも、そっちの電波はアンドロイド端末で活用するしかないのでねえ。PANTONEの色がやたら選べるというのもまあ楽しいでしょうけど。
ELTがLTEというのも、なかなか洒落っけがあるような、安易な発想なような。まあとにかく話題を作るのがプロモーションの目的なので、それは達成されておるわな。
ただ、プレゼンの最後の「One More Thing」的な扱いでもあったことからも想像できる通り、スティック型のスマートTV端末「スマテレ」は今回の発表の一番の肝であり、野心的なものだと思います。
スティック型でどんなテレビでも対応可能であるという点と、スマートフォンによって操作するという新機軸でオンデマンドのコンテンツ配信にソフトバンクも力を入れていくという意思表示がここに見えます。
携帯キャリアがコンテンツに注力する背景には、スマホ普及による土管化があり、値段と品質勝負であればもうソフトバンクとしてはしばらくは劣勢に立たされていることが目に見えているわけです。自慢の価格勝負もiPhone 5ではauと同じ値段で提供することにせざるを得なくなっています。
それでなくとも、スマホのコンテンツは各端末に依存するので、各社スマホを主力機として扱う以上、キャリアは別の部分でコンテンツの魅力でもって勝負しない限り、土管の品質だけで勝負するしかないですからね。ただ、それはSBに限らずつらいことです。iPhoneを唯一扱うキャリアでなくなった以上、SBにはもっとも酷な状態です。
なので、テレビ・ビデオサービスに活路を求めてユーザーのライフスタイル全般に訴求できる総合的なサービスにある程度舵を切って、コンテンツの充実をはかり、顧客の囲い込みに勤しむ必要があります。KDDIも同様の端末をシーテックで披露してます。通信キャリアによるコンテンツ戦争の最初の先鞭ですね、今回のスマテレは。
コンテンツの制作・供給側にとっては歓迎すべき事態なのかもしれません。各キャリアが独自コンテンツの獲得で競争が進めば、より良いディールで権利の販売ができるようになるかもしれません。アメリカでオンデマンドサービスが発達しNetflixやアマゾンやアップルがしのぎを削るなか、権利の販売額が上昇傾向にあるような状態と同じことが日本でも起きれば、パッケージ販売の不振でヘタり込んでいる日本のコンテンツ業界にとっては救いです。
パッケージ販売は、当然回復見込みはないでしょうから、新しい販路が開かないといけないわけですが、日本ではなかなかオンデマンドサービスのブレイクしない。アメリカと違ってどこに駅前に行っても大抵ツタヤがあって安い値段でレンタルできる市場環境ですから、あまりオンデマンドのニーズが育たないわけですが。
本当はどんな通信キャリアでも利用可能なプラットフォームが育ってくれるのが一番ユーザーにとっていいんですけど、なんだかテレビ局はHuluみたいのを作ってくれないし。本当に危機感あれば作るしかないと思うんですが。
アメリカではキャリア依存しないこういう端末が出てきたんですけどねえ。
Film Goes with Net ポータブルなスマートTV、Equiso。HDMI端子に刺すだけでどんな普通のテレビでもスマートTVとして使えるように。
てかテレビ局としては、通信キャリアがテレビ端末上においてもコンテンツの配信をされようとしている現状に対してどう思っているんでしょう。自分たちのパイを削られているわけですが、このままでいいのかな。
僕もソーシャルTVだとかなんとか、いろいろ書いていますが、コンテンツを消費してもらうフロントエンドを通信会社に削られている状況です。どう反転攻勢するのでしょうか。
スマテレを始め、通信キャリアのビデオオンデマンドサービスには、放送局の尻に火をつけるような積極的なコンテンツ展開を望んでおります。今のとこ、ツタヤとBBTVとギャオしかないみたいですけど、これじゃ使いにくい&寂しいので。
とりあえずHuluのような定額サービスをやってほしいですよ。
ソフトバンクのスマテレについての詳細は以下を参照してください。
ソフトバンク、専用スティックを挿すだけで映像作品をテレビで視聴できる「SoftBank SmartTV」を発表!2012年12月上旬以降提供開始(エスマックス) – IT – livedoor ニュース
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