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失恋で不登校は「いじめ」になるのか?磯村勇斗主演『僕達はまだその星の校則を知らない』が描く法律の限界と“本当の幸い”


民放連ドラ初主演の磯村勇斗が演じる風変わりなスクールロイヤー・白鳥健治。その活躍を描く『僕達はまだその星の校則を知らない』の第2話が放送された。2話のサブタイトルは「失恋はいじめか?」。学校という社会で誰もが経験しうる恋愛のもつれを、「いじめ」という法的な枠組みで捉えようと試みる、挑戦的な回であった。

「いじめ防止対策推進法」という名のパンドラの箱

物語は、共学化して間もない濱ソラリス高等学校で起きた恋愛トラブルから始まる。生徒の藤村省吾(日向亘)が、心変わりした堀麻里佳(菊地姫奈)に振られ、そのショックから不登校となり、「いじめられた」と訴え出たのだ。

この訴えに対し、スクールロイヤーの白鳥健治(磯村勇斗)は「いじめ防止対策推進法」を根拠に、被害者が心身の苦痛を感じていれば、それは「いじめ」として認定されると主張する。学校側に対策を講じる義務が生じ、加害者には懲戒処分も可能だという彼の言葉は、教師たちを困惑させる。単なる失恋が、法律という杓子定規で裁かれようとしているからだ。

特に、担任の幸田珠々(堀田真由)は、この法的な解釈に強く反発する。「そんなことをしたらいつか誰も恋なんてできなくなる」という彼女の叫びは、法と、人が生きていく上で避けられない感情の衝突を象徴している。本作は、生徒を守るために作られたはずの法律が、使い方を誤れば人間関係の機微を無視した「パンドラの箱」になりうる危険性を鋭く指摘した。

 

誰もが加害者であり、被害者である教室(社会全体)

健治が法律を振りかざした結果、事態はより複雑化する。省吾を振った麻里佳は、周囲から「ビッチ」と書かれた紙を机に入れられるなど、新たな被害者となる。彼女は新しい恋人の井上(山田健人)に迷惑をかけたことを悔やみ、「井上くんまで加害者にしないで」と健治に懇願する。

省吾が感じた苦痛は本物であり、彼は紛れもない「被害者」である。しかし、心変わりした麻里佳もまた、その選択によって苦しみ、周囲からの中傷に晒される「被害者」となった。健治の正義は、意図せずして新たな被害者を生み出してしまったのだ。

「人は何かを傷つけずには生きていけない」。幸田のこの言葉は重い。失恋という極めて個人的な心の動きに、「加害者」「被害者」というレッテルを貼ることの危うさ。健治は自らが信じる法律の正しさが、必ずしも生徒を救うわけではないという現実に直面し、深く苦悩することになる。

 

法律の先にある「本当の幸い」

法律だけでは生徒を守れないと悟った健治は、これまでの態度を改め、生徒の目線に立とうと試みる。教室の空席に座り、生徒と共に授業を受けるという彼の奇行は、しかし、彼の真摯な変化の表れであった。

この健治の姿勢の変化が、固く閉ざされていた生徒の心を開いていく。特に、元天文部員・高瀬佑介(のせりん)の屈託のない存在が、省吾の心を解きほぐすきっかけとなる。健治は、転校やクラス替えといった法的な措置を提示しつつも、「何が本当の幸いなのか、自分で決めてほしい」と、判断を省吾自身に委ねる。

最終的に、省吾は自らの口で「傷ついたけど、いじめじゃない」と結論を出す。誰かに与えられた答えではなく、友人との関わりの中で見つけ出したこの言葉こそが、彼にとっての「本当の幸い」への第一歩であった。健治自身もまた、過去にいじめで学校に行けなくなった経験を明かし、傷つきながらも学校に来た省吾への尊敬を口にする。スクールロイヤーと生徒が、互いに影響を受け、共に成長していく姿がそこにはあった。

ラストシーンでは、理事長の尾碕美佐雄(稲垣吾郎)が健治の事務所を訪れる。二人の間に横たわる因縁とは何か。法律という武器の危うさを知った健治が、次なる難問にどう立ち向かうのか、今後の展開から目が離せない。


登場人物

  • 白鳥健治(磯村勇斗)
  • 幸田珠々(堀田真由)
  • 山田美郷(平岩 紙)
  • 久留島かおる(市川実和子)
  • 藤村省吾(日向 亘)
  • 堀 麻里佳(菊地姫奈)
  • 高瀬佑介(のせりん)
  • 鷹野良則(日高由起刀)
  • 斎藤瑞穂(南 琴奈)
  • 北原かえで(中野有紗)
  • 江見芽衣(月島琉衣)
  • 三木美月(近藤 華)
  • 内田圭人(越山敬達)
  • 島田聖菜(北里 琉)
  • 有島ルカ(栄莉弥)
  • 巌谷光三郎(淵上泰史)
  • 緒川 萌(許 豊凡(INI))
  • 黒岩宗政(篠原 篤)
  • 菊池沙良(西野恵未)
  • 永井玄也(根岸拓哉)
  • ジョン・コリンズ(チャド・マレーン)
  • 小島敏夫(諏訪 雅)
  • 三宅夕子(坂井真紀)
  • 井原 久(尾美としのり)
  • 広津可乃子(木野 花)
  • 白鳥誠司(光石 研)
  • 尾碕美佐雄(稲垣吾郎)