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韓国ドラマレビュー:『優しい男の物語』第二話 – 優しいヤクザを縛る、家族という名の鎖


第一話のラスト、姉の居場所である賭博場へ乗り込んだソクチョル(イ・ドンウク)。第二話は、そのドタバタな大乱闘の続きから幕を開ける。アクションとユーモアが交錯する幕開けだったが、物語は次第に、主人公ソクチョルをがんじがらめにする、よりシリアスで根深い問題へと焦点を移していく。

明かされる家族の過去と新たな火種

間一髪で姉のソクキョンを連れ出したソクチョルと妹のソクヒ。借金苦から「漢江に飛び込んで死ぬ」と嘆く姉に対し、妹のソクヒは口汚く罵りながらも、決して死なせはしないという強い意志を見せる。姉のソクキョンは、妊娠、離婚、そしてギャンブル依存と、これまでも家族に心配をかけてきたトラブルメーカーだったようだ。そんな姉を、ソクチョルは静かに家に迎え入れる。彼の優しさは、家族に対しても変わらない。

しかし、ソクチョルを縛る家族の問題は姉だけではなかった。彼の父が、ソクチョルの所属する組織を訪れ、新たな借金をしようとするのだ。父こそが、ソクチョルをこの世界に引きずり込んだ元凶だった。ヤクザ稼業から足を洗い、自由を手に入れようともがくソクチョルにとって、家族の存在が皮肉にも抜け出せない鎖となりつつある。恋愛模様に加え、家族との根深い確執が物語に新たな深みを与え始めた。

 

ヤクザ稼業の泥沼と、ソクチョルの優しさ

ソクチョルが足を洗うための最後の仕事、それは第3区域の再開発問題の解決だ。あくまで穏便な話し合いでの解決を望むソクチョルは、立ち退きを拒否する住民代表の男性と一対一で向き合う。彼の交渉術を、代表は「優しい脅し」と評するが、命がけの抵抗を前に、話し合いは平行線をたどる。

事態が急変するのは、ソクチョルの意に反し、組織のメンバーが暴力的な手段で住民を追い出そうとした時だ。代表はガソリンを被って抵抗し、現場は一触即発の事態に。仲間の暴走を止めようとしたソクチョルだったが、揉み合いの末に火の手が上がってしまう。彼は燃え盛る炎の中から代表を救い出すが、その行動はメディアによって「住民を救った英雄」として報じられる。ヤクザとしてではなく、人命を救った男として新聞に載ってしまう展開は、あまりにも皮肉だ。彼の優しさが、裏社会で生きる上での足枷となっていく様がもどかしい。

 

互いを想い、一歩を踏み出す二人

シリアスな展開が続く中、ソクチョルとミヨン(イ・ソンギョン)の関係は、視聴者にとっての癒しとなる。夜のオフィスで清掃のアルバイトをしながら、母親の入院費の支払いに頭を悩ませるミヨン。そんな彼女の心の支えは、ソクチョルとのメッセージのやり取りだ。彼の言葉を思い出し、ミヨンは人前で歌えないというトラウマを乗り越えるべく、再びオーディションに挑戦する決意を固める。

一方のソクチョルもまた、行方不明だった姉と再会した甥ヒョングンのことを気遣うなど、その優しい眼差しは常に大切な人々へと向けられている。互いが互いを想い、支え合うことで、困難な状況の中でも前へ進もうとする二人の姿は、本作の大きな魅力の一つだ。

 

深まる葛藤と次なる波乱の予感

結果的に大手柄を立てたソクチョルだが、組織を抜けるという決意は揺るがない。しかし、父が作ろうとする新たな借金が、彼の自由への道を阻む。なぜ自分だけがこんな稼業に縛られなければならないのか。彼の憤りは、やり場のない悲しみとなって響く。

ミヨンが新たな一歩を踏み出そうとするライブバー「ニルバナ」。その頃、ソクチョルの手腕に面子を潰された建設会社の連中が、復讐を企てていた。恋愛、家族との確執、そして裏社会の抗争。それぞれの物語が複雑に絡み合い、より多角的で骨太なドラマへと進化を遂げた第二話。ソクチョルは家族という鎖を断ち切り、自由を手に入れることができるのか。そして、二人の恋の行方には、また新たな波乱が待ち受けているのだろうか。今後の展開から目が離せない。