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2012年、映画の消費はストリーミングがディスクを超えるのだが。。。

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photo credit: pkingDesign via cc

IHS Screen Digestが作成したアメリカでの映画の消費に関する調査報告が出ていました。テッククランチさんが記事にしていました。
調査報告:2012年、映画はストリーミングがディスクを越える

まあ当然の傾向ですね。日本ではまだまだ時間がかかるんでしょうけど、あらゆるコンテンツがオンラインで配信されるのは約束された未来でしょうし。

テッククランチさんの記事にもありますが、アメリカで映画のオンライン消費を牽引しているのは、iTunesではなくNetflixのような定額ストリーミングサービスです。映画ストリーミングの94%が定額サービスからの利用ということなので、iTunesもYouTubeの映画レンタルも実はあんまり存在感ないんですね。
日本でもHuluは始まってますけど、国内コンテンツを権利者が解放してくれないので苦戦してる印象ですね。

アメリカではNetflixもHuluも月額$8で、このような安価でたくさんの映画をいつでも観ることができるというのは、消費者からするとホントに素敵な話なんですが、配給する側からするとホント大変でねこれ。。。。

同じ調査報告をハリウッドのお膝元のメディア、LAタイムスはこんな風に報じてます。
Internet to surpass DVD in movie consumption, not revenue(インターネットでの映画の消費がDVDを超えるが、利益は下回る)」

In total, online stores and services will account for 57% of movie consumption in 2012, but only 12% of spending.(2012年、オンラインの映画の消費は、市場全体の57%を占める見込みだが、オンライン映画の利益は市場全体のたったの12%に過ぎない。)

前述しましたが、Netflixは月$8で見放題、Huluも同額です。利益率が無茶苦茶低いです。
具体的にどれくらい利益率が低いかは、Netflixの収支報告を参考に以前こんなエントリーを書きましたので、こちらをご参照ください。
Netflixの収支から見るストリーミングビジネスの難しさ

ハリウッドのスタジオは話題の新作はNetflixには出さないようにしてるんですが(Netflixでは割と古い映画とインディーズ系の作品が多い)、ユーザーの不満を募らせてるだけです。iTunesの映画レンタルは一本$3〜4なので、月2本分の料金でNetflixは見放題ですからね。

ハリウッドもユーザーも一応ユーザーの利便性向上は考えていて、ウルトラバイオレットなどというサービスを始めましたが、
なぜ20ドル近く払ってディスクを買って、16桁の長いパスワードを打ち込むという作業をしないとオンラインで観ることができないようなサービスが起死回生の挽回の策だと思えるのかわかりません。どうしてもディスクのほうが利益率が高いので、それを捨てることができないんですね。

ただ、気持ちはわかります。僕もアメリカ在住時に日本のピンク映画のDVD配給に関わっていましたが、2010年まではDVDは順調に売れていたんですが、2011年に入るとDVDの売り上げが減少傾向になりました。2011年からストリーミング配信も始めたんですが、DVDセールスの収益源をカバーできてないです。今年からは、ストリーミングをアメリカ国内だけじゃなく、日本を除く(日本は日本の会社がオンライン配信してるので)全世界から利用可能にしたのですが、どこまで効果が出てくれるか。この権利処理自体はなかなか先進的だと思うんですけどね。

ちなみに手軽にオンデマンド配信サービスを構築できるdistrify.comというサービスを使ってます。
スマートフォンやタブレットにも対応したストリーミング配信が可能です。

昨今はユーザー至上主義的な傾向は強いのですが、ユーザーの力が強すぎてもコンテンツ制作者にお金が落ちず、結果的に利用できるコンテンツが減ってしまっては元も子もないので、バランスよい均衡点と新たな収益源を見つける努力が必要ですね。

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