前回、中越紘海(北川景子)が誘拐した萌子を美海と命名し、自分の子どもとしたところまでが描かれた。復讐相手の子どもを誘拐し、その子に亡くなった自分の娘を重ねるようにして母親として愛情を注ぎ始めてしまった紘海だが、その歪な親子関係をいつまで続けられるのか。と思っていたら、一気に時間が進展した。
前話から一気に3年経過
誘拐から3年、中越紘海(北川景子)は結城萌子改め美海(前田花)を実の娘として育てていた。表向きは平穏な生活を装いながらも、訪問者が来れば美海を隠す生活は続いている。唯一の例外は隣人・野口初芽(小川李奈)であり、3人は親子のような関係を築いている。だが、ふとした「似てないね」という言葉に、紘海の表情はこわばる。
紘海は依然として保育園で働いており、給食当番に従事している。美海は3歳以前の記憶を失っており、それに紘海は安堵と罪悪感をないまぜに感じている。奪ったのは子どもの「普通の人生」だったと、自らを責めているようでもある。
一方、娘を奪われた結城旭(大森南朋)は、表向きは豪邸に暮らし、食品事業で新たな展開を図っている様子だ。東砂羽(仁村紗和)の結城への取材は編集長が上からの命令でストップがかかり、背後には企業の圧力が見え隠れする。結城は依然として萌子の行方を探しており、チラシを配る姿に哀れさがにじむ。情報料を高額に設定しているためか、金銭目当ての嘘の通報もかかってくるらしい。
美海の戸籍取得のために一線を超える紘海
夜にしか外に出せない生活のなかで、美海は紘海を全面的に信頼している。この歪な関係にも、確かに「親子の絆」は芽生えている。しかし美海の6歳の誕生日が近づき、戸籍問題が現実として立ちはだかる。役所に「自宅で出産した」と虚偽を申し立てるも、DNA鑑定という壁が立ちはだかる。
さらに紘海は、戸籍取得のために元夫(高橋光臣)に偽証を依頼する。倫理的な一線を越えたこの行為に戸惑いながらも、元夫も紘海の孤独を理解し始める。紘海は、「この子と出会ってしまった」ことを自身の救いと語る。
事態は加速度的に進行する。紘海は美海の実母・木戸江身子(鶴田真由)の存在を突き止め、スナック「蝶」で接触。睡眠薬を用意してDNAサンプルを採取する冷徹さに、紘海の執念が見て取れる。江身子の語る過去——下の子どもの死や結城への不信——は、紘海の中の復讐心を再び呼び覚ます。
本来は過去を清算し、美海との「新しい人生」を築くべきはずだった。しかし、復讐の火は消えず、気づけば紘海は結城の家の前に立っている。彼の平然とした様子に、複雑な感情が渦巻く。だが、元夫から「証言する」との連絡が入り、DNA検査も無事通過する。ランドセルを購入し、紘海はようやく「母親」としての未来に一歩を踏み出す。
そして、さらに時は流れ…
物語は急展開を迎える——7年後。美海は中学生となり、初芽との交流も続く。紘海も変わらず保育園で働いている。だが、ある日、玖村毅(阿部亮平)と再会し、過去の秘密が再浮上する予感が漂う。そして、因縁の相手・結城旭とも再び顔を合わせる展開が待っている。
今話では、「歪んだ母性」と「過去への執着」が二重に描かれた。母であろうとする紘海の決意は、他者を巻き込むほど強烈であり、善悪の境界を曖昧にする。その一方で、奪われた父・結城の絶望もまた、痛ましく描かれている。復讐と愛情、その狭間で揺れる紘海の姿に、観る者はただ翻弄されるしかない。
第3話は、ひとつの到達点でありながら、新たな波乱の序章でもある。母とは何か、赦しとは何か——その問いの答えは、まだ見えてこない。
紘海の復讐心は忘れようとしてもなかなか消えない。それだけ子どもを失った絶望と結城への怒りは深い。美海が真実を知ってしまうのはいつなのか、知った時に彼女はどういう反応をするだろうか。数奇な運命に導かれた家族の物語が、先行きの見えない展開となってきたが、目の離せない展開にもなってきた。
登場人物
中越紘海(北川景子)
東 砂羽(仁村紗和)
結城梨々子(平 祐奈)
玖村 毅(阿部亮平)(Snow Man)
鷲尾 勇(水澤紳吾)
野口初芽(小川李奈)
中越美海/結城萌子(一色香澄)
村杉結愛(田山由起)
鳥谷陸翔(内藤秀一郎)
小石川雪子(原 日出子)
木戸江身子(鶴田真由)
三浦勝昭(大浦龍宇一)
木戸雅人(中原丈雄)
望月耕輔(筒井道隆)
結城 旭(大森南朋)