HBOの大ヒットドラマ『The Last of Us』シーズン2第4話が放送され、主人公エリーと新キャラクター・ディナとの関係が大きく動いた。ディナを演じるイザベラ・メルセドは、本エピソードが描いたふたりの「愛情の目覚め」について、米メディアDeadlineのインタビューでその胸中を明かしている。
ディナが銃口を向けた理由と、揺れる感情の描写
第4話では、エリーとディナがシアトルの街を探索し、アビーを捜す過程で、WLF(ワシントン解放戦線)とセラファイトの対立に巻き込まれていく。逃走中に感染者の襲撃を受けた際、エリーが自らの免疫をディナに明かすが、ディナは信じられずエリーに銃を向ける。夜通し警戒を続けた末、ディナはエリーの言葉が真実であると悟り、涙を流す。そして、彼女は自分がジェシーの子を妊娠していることも告白する。
メルセドはこのシーンについて「ゲームにはなかった展開だが非常に意義深い。感情の段階を追って演じるのが難しくもあり、美しい経験だった」と語る。また、相手役のベラ・ラムジーとの信頼関係により、感情の変化を細やかに演じることができたと述べている。
ついに明かされた想い、そして新たな覚悟
エリーが「君のためなら死ねる」と言う場面について、メルセドは「二人の間では、これまでも同じような感情が様々な形で交わされてきたが、ここでついに言葉として明確にされた」と指摘する。そして、ディナが銃を下ろしキスを交わすことで、ふたりの関係は精神的にも身体的にも一線を越えた。
「サフィック(女性同士の恋愛)描写は往々にして過剰に性的に描かれがちだが、今回のような“スローバーン”な描き方は希少で、若いクィア層にとって重要な表現になる」とメルセドは語り、今回の描写に深い満足感を示した。
今後の展開――関係の深化が物語に与える影響
メルセドは、今回の出来事により、エリーとディナの関係が「まったく新しい段階に入った」と強調する。「お互いに対する忠誠心が格段に高まり、今後の展開では失うことの痛みがより深くなるだろう」と述べ、今後待ち受ける過酷な運命への覚悟を示した。
また、ディナがエリーに対して感じている「愛に近い忠誠」は、物語後半でさらなる意味を持ってくるという。ふたりは互いにまだ明かしていない秘密を抱えており、それが視聴者にとって「見返すことで初めてわかる」伏線として機能するとも語っている。
ゲームとの差異とオリジナル展開の妙
『The Last of Us Part II』を原作とする本シーズンでは、ゲームの展開を忠実に再現する場面もある一方で、大胆な改変もなされている。今回のディナの妊娠や、エリーの免疫を告白する場面などはドラマオリジナルの展開であり、メルセドは「ゲームファンにも新鮮な視点を提供する絶妙な改変であった」と語る。
音楽ショップのシーンを除けば多くが再構成されており、「視聴者にとっては感情的に報われる体験になる」とし、エミー賞も狙えるサフィック描写であると自信をのぞかせた。
まとめ:ふたりの絆が試される、さらなる試練の予感
シーズン中盤にして、エリーとディナの関係が大きく進展した今回のエピソードは、物語全体の転換点ともいえる。愛、忠誠、秘密、裏切り――複雑に絡み合う感情が、今後の展開に深みを与えることは間違いない。次回以降、彼女たちが“家族”としてどのように戦い、傷つき、乗り越えていくのかが注目される。