2025年最大のボックスオフィス現象の一つとなった『マインクラフト映画』について、同作品のブランド戦略の詳細がSXSW Londonで明かされた。映画は世界興行収入948億円を記録し、ゲーム原作映画として『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に次ぐ史上2位の成功を収めている。
目次
記録破りのオープニング興収と最終成績
『マインクラフト映画』は公開初週末に163億円という記録的なオープニング興収を達成。製作費150億円に対して世界総興収948億円を記録し、投資回収率は6倍を超える圧倒的な成功を収めた。
コミュニティ重視のブランド戦略が奏功
マインクラフトのアソシエイト・ブランド・ディレクターを務めるハリー・エロネン氏は、SXSW Londonの「エンターテイン・オア・ダイ:マインクラフトが現代メディア界の巨人になる方法」パネルで成功の秘訣を語った。
「コミュニティが我々のカテゴリーにおけるエンゲージメントの最大の推進力である」とエロネン氏は述べ、ファン同士の結束がブランド成長の核心にあることを強調した。
初期の課題から学んだブランドアイデンティティの重要性
映画化プロジェクトは順風満帆ではなかった。初期のトレーラー公開時には厳しい批評を受け、エロネン氏も「人生でストレスの多い時period」だったと振り返る。
「マインクラフトらしく見えず、感じられず、匂いすらしないものに寄りすぎていた」と当時の反省点を語り、本来の「マインクラフト」らしさを重視する方向転換が成功につながったと分析している。
トランスメディア戦略とゲーム連動施策
映画成功の背景には包括的なトランスメディア戦略がある。エロネン氏によると、「映画にインスパイアされたベースゲームのアップデート」を実施し、映画の要素をゲーム体験に組み込んだ。
さらに、従来年1回だったゲームアップデートを年4回に増加させ、「lots of littles」マーケティング哲学に基づいて継続的なエンゲージメントを維持している。
エンターテインメント業界の新パラダイム
Small W•rldの創設者で戦略パートナーのダン・ソーキー氏は、「これは一夜にして起こったことではない。何年もかけてブランドの伝承を効果的に構築してきた結果だ」と指摘。
現在の注意力経済において「最もリスクの高いことは、エンターテインしないこと。エンターテイン・オア・ダイの時代だ」と強調し、従来ブランドの進化の必要性を訴えた。
ソース:‘Minecraft’ Exec Details Movie’s Box Office Success at SXSW London