原菜乃華主演の映画『見える子ちゃん』はひねりの効いたプロットで面白く見せてくれる青春ホラー映画だった。笑えるところもあるし、怖いところは怖いが怖すぎない塩梅で作られていて、最後はほろ苦い青春映画としてまとめている。
ある日、学校で文化祭の出し物を決める投票を行っていたところ、主人公・四谷みこがクラスの人数は30人だと思っていたところ、29人だと言われる。どうも彼女には普通の人には見えない霊が見えてしまっているらしい。
その日から、みこは霊が見えることに悩まされるようになっていく。最近の若者らしくYouTubeで除霊方法を調べてみるが、いい加減な情報だったようで、かえって霊に好かれるようになってしまう。
ある日、みこは親友のハナ(久間田琳加)に霊がついているのが見えてしまう。生徒会の権藤昭生(山下幸輝)と二暮堂ユリア(なえなの)はみこに「見える子」だと見抜かれアプローチされるが、ハナは怖い話が大の苦手なので、みこはなんとかそれを隠して生活しながら除霊方法を探ることになる。
担任教師の産休であらたに赴任してきた教師・遠野善(京本大我)にも強力な霊がついており、それがハナにも取りついてしまうと、ハナは生気を吸われて入院してしまう。遠野は霊につかれていることに気づいていないのでなんとか本人に悟らせないままに除霊をせねばハナを救えないという事態になっていく。
霊が見えることを周囲には悟らせないように除霊していくプロセスが面白い。そして、実はこの人も霊だったのか、という展開になっていくのも面白くて、主人公にしか見えてないいない存在が多数含まれていて、最後にその種明かしがされたときの爽快感とやるせなさがなかなかに気持ちいい作り方になっていた。
成仏できない霊の未練や無念にも理解が示され、親の愛の強さのポジティブな側面とネガティブな側面の両方が霊を通して描かれる。ストーリーのまとめ方がとても上手いし、丁寧に演出されている作品だった。
京本大我の気弱な教師役ははまっていた
役
者陣では京本大我の存在感が際立っていた。女子高生のキャスト陣は等身大の高校生をそれぞれ体現するが、気弱で頼りないがイケメンで女子人気人気のある教師役というのが、かなりはまっている。彼はこういう頼りない役、意外といけるのではないか。
霊につかれているので、乗っ取られて霊がしゃべるという体裁のシーンがここでは、まるで違う雰囲気を醸し出す。短いシーンだけど演じ分けがしっかりなされている。親の愛が強すぎて、その呪縛から逃れられない男性という役どころに無理のない雰囲気になれていて、こういう陰のある役はもっと見てみたいと思った。
エンドクレジットではダンスをしていて、いつものアイドルの輝きを発揮していた。あれはファンサービスか、一応、役として踊っているのか、どうなのか。
なえなのもよかった。主人公と違い、霊が見えると公言している女の子の役どころで周囲から浮いた存在なのだが、不思議ちゃん的な存在を自然体で演じていた。はまり役だったと思う。
京本大我の映画作品については、『言えない秘密』のプロデューサーインタビューの記事でも少し触れているので、興味ある人は読んでください。