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『THE FIRST SLAM DUNK』“時間帯別上映”について書きました

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 リアルサウンド映画部に、『THE FIRST SLAM DUNK』“時間帯別上映”の施策について書きました。

 『THE FIRST SLAM DUNK』“時間帯別上映”のメリットとは? 機会損失の観点から考える|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 シネコンの上映時間の編成は複雑怪奇で、どう組むのが一番いいのか、正解はないと思います。人間の行動様式も多様化しているし、どの時間帯が一番見に来やすいのかっていうのは、難しい問題です。

 人気ない作品は、すぐに一日一回の朝だけの上映とかにされてしまうとか、もったないけど、箱の数は限りがあるので、どうしても発生してしまう現象もあります。シネコンは人気作品は朝から晩まで上映するので、機会損失はないのですけど、上映開始からしばらく経過している『THE FIRST SLAM DUNK』ですら、この時間じゃ見に行けないという声が少なからずあったんでしょうね。

 記事では、ミニシアターの編成についても触れておきました。こっちのほうが実際深刻というか、どんな編成をすべきか、難易度が高いことを迫られているなと思ったので。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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時間帯別上映の実施決定! | 映画『THE FIRST SLAM DUNK』

– 映画館閉館相次ぐ、負のスパイラル続いている模様 – [文化通信.com]

単館系作品の編成担当者が話す。「ミニシアターは、どこも青息吐息の状態です。とくに京都は、ミニシアターが比較的多い地域で、編成含めて非常に苦労していたと思います。負のスパイラルがあるように感じます。ヒット作品が少ない。だから、上映作品を多くする。観客側から見て、行こうと思っている作品の時間帯が限られる。少ないながらも、見たい人が見に行かれない状況が生まれる。全体の興収が目減りする。そうなると、宣伝費もかけられない。作品の情報が減る。映画が浸透せず、興行に影響が出る。これが、負のスパイラルです。

どこも、その状態に陥っています」。あるミニシアターの支配人も言う。「ヒット作が少なすぎます。従来なら、興収1億円を超えていただろう作品も、5千万円、4千万円あたりで止まってしまう。逆にいえば、それ以外の作品が、いかに多いかということです。全国興収が、そのあたりだと、全国のミニシアターの数字は自ずと知れます」。

負のスパイラルは、ヒット作の減少が大きな原因で、これが打開される気配は、今のところ見えないという。大都市圏のミニシアターの閉館が相次いでいることに、非常に大きな危機感をもつ配給会社の営業担当者もいる。「名古屋、京都で閉館が続くということは、地方のミニシアターのひっ迫度が相当なものだということがわかります。もはや、営業していく気力がなくなってきたという声も聞きます」。

さきの編成担当者は、こんなことも話していた。「老舗のミニシアターなどの閉館が続きます。経営者が創業者から代替わりする。それに伴い、方向転換する映画館が出てきたことも考えられるのではないでしょうか。これは、独立系の映画館=ミニシアターの今後を考える上で、とても重要なことです」。

今年の上半期の興行成績は、昨年実績を上回るが、それはあくまでもシネコン中心の興行のこと。ミニシアター単独では、相当厳しい現実が見える。負のスパイラルをどこで断ち切るか。映画館や配給会社、関連団体だけの問題ではなく、映画界全体で考えるべき時が来たのかもしれない。

 
 
Point

機会損失を防げるか

人気作品はそもそもシネコンでは一日中やってるのでこの問題は起きない

一日一回しか上映していない作品を守る多様性の保全の観点

ミニシアターの苦境も添えて
 
 
Intro

まだ公開が続くスラムダンク。

一日の上映回数はさすがに少なくなり、朝昼夜の上映を決定した。

そこで、朝昼版の上映を決定。時間が合わない人に配慮して全国の映画館で実施される。

その概要

これはどれだけ意味のあることだろうか。
 
 

Body1人気作品だったら

前提として、シネコンの上映編成は多彩である。

人気作品は、朝から晩までひっきりなしに上映しているので、上映時間が合わないことによる機会損失というのは起きにくい。

スラムダンクも公開まもない12月には、朝から晩まで上映していた。なので、わざわざ朝と昼と夜、に上映しますと告知することなどなかった。上映から半年以上が経過して、一日一回の上映の劇場が多くなっていることで、「時間が合わない」という声が上がるようになったのだ。

つまり、上映時間による機会損失の問題は、人気ある作品には発生しない。どちらかというと、ちょっとマイナーな作品の上映について考えることだ。

シネコンには、多種多彩な作品が上映されている。TOHOシネマズ日比谷では一日に20タイトル前後も上映作品がある。

毎週色々な作品が上映されるこの国ではスクリーンの取り合いがある。マイナーな作品は席数の少ないスクリーンで一日に何回も上映は限られる。初週の成績が悪いと次の週からは一日一回になることもある。

それでも観たい人はいる。その見たい人は日々学校や仕事がある、いつ映画館に行けるのか、ひとそれぞれに事情があるので、朝いける人もいれば夜に空いてる人もいるし、朝と夜より昼に自由時間がある人もいる。

実際、スラムダンクのように告知はしなくても、ある程度上映時間をずらしてそのような機会を設けている劇場は普通にある。

映画館の上映スケジュール決めは興行の成績を左右する問題であり、劇場側も知見を持って決めている。どの作品がどの時間帯に強いのかという分析はしている。どうしても夜には全然来ないタイプの作品というのもあるし、夜の方が比較的強いという作品もある。
 
 

Body2別の時間に上映してくれという声は必ずあるけれど。。。

スラムダンクはどうなのかというと、原作を連載当時に呼んでいた世代から、若い世代まで人気を獲得している現状では、幅広い層に浸透していると考えられる。そうなると、自由になれる時間はばらけてくるので、朝と昼、夜に分けて上映していくことにも一定の意義があると思われるが、全ての作品が幅広い層に刺さるわけではないので、作品によってはほとんど集客を伸ばせない作品もあるだろう。

例えば、大名倒産は、昼の時間帯の上映が多いが、これは年配層が集客の中心なので、夜には苦戦するタイプの作品だ。

でも、大名倒産を観たいけど、夜しか時間があいてないという人も世の中にいるのだ。神木隆之介ファンの20代女性が会社帰りに観たいと思っているかもしれないが、そういう人はおそらく観に行けない上映時間設定になっている。

筆者も映画館で編成にかかわったことがあるので、わかるが、かならずあの映画の上映はこの時間帯にはないのかと聞かれる。

しかし、その声にこたえて夜に上映機会を作っても閑古鳥がなくという経験を何度もした。それはそれで、昼にやっておけばという機会損失になる。上映時間

Body2苦しむミニシアター

だが、それではやはり映画館離れの原因にもなり得るのだ。観たい作品が観たい時間にやってないという経験が重なってしまうのは。

負のスパイラルがあるように感じます。ヒット作品が少ない。だから、上映作品を多くする。観客側から見て、行こうと思っている作品の時間帯が限られる。少ないながらも、見たい人が見に行かれない状況が生まれる。全体の興収が目減りする。そうなると、宣伝費もかけられない。作品の情報が減る。映画が浸透せず、興行に影響が出る。これが、負のスパイラルです。どこも、その状態に陥っています」
映画館閉館相次ぐ、負のスパイラル続いている模様

実際にこの負のスパイラルが深刻なのだが、ミニシアターはスクリーン数がシネコンほど多くないので、一番稼げる時間帯から作品を動かしにくい。

スラムダンクのようにすでにたくさん稼いだ作品なら、余裕をもって、少数派の観客の声にも耳を傾けることができる、だが、本当にシビアは決断を迫られるのは、むしろ大ヒット映画ではなく、中規模、小規模な上映の作品であって、そうした作品の機会損失をどれだけ防げるかは重大な課題になっている。

比較的オールターゲットな作品であれば、ミニシアターでも上映時間を週ごとにずらすぐらいのことはやっている。スラムダンクのようにいちいち言っていないだけで。

だけど、当たり前になっていることをあえて言ってみるのも、イメージ戦略としては大事だろうと思った。少なくともスラムダンクは、ファンの声を聴いているぞというイメージを勝ち取ることに成功していると思う。

上映時間を決める、これ自体も観客とのコミュニケーションでもある。ほんのちょっとしたことでも告知してみるのもいいのではないか。
 
 
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 メモ終わり。

 ミニシアターが陥っている負のスパイラルをなんとかしたいよな、と思います。映画上映の多彩なラインナップを守るための一番いいバランスはどこにあるのか、これは本当に正解はないんですけど、一層知恵を絞らないといけないよなと思います。僕のようなライター業はある程度時間が自由なので、普段あんまり気に留めないでいられるんですけど、普通はそんな自由な時間ないんですよね。
 
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