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『インスペクション ここで生きる』エレガンス・ブラットン監督に取材しました

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 ハフポストに、『インスペクション ここで生きる』のエレガンス・ブラットン監督のインタビュー記事を掲載しました。

なぜ軍隊がマイノリティのセーフティネットになるのか。自らの過酷な経験を映画化した監督に聞く | ハフポスト アートとカルチャー

 監督の実体験をもとにした作品で、軍隊に入隊する同性愛者の物語です。アメリカの軍隊では、今では同性愛差別が禁じられていますが、かつては同性愛者であると公言することを禁じた米軍規定・DADT(Donʼt Ask, Donʼt Tell)がありました。本作はその規定が撤廃される前を舞台にしています。

 アメリカの軍隊はマイノリティがたくさんいます。それは生きる糧を得るためという側面もあり、本作の主人公は入隊前には、ホームレス同然の生活をしていたことも入隊理由とはなっているようですが、それ以上に自分が誰かの役に立てると思いたいという動機が働いています。

 そういう事情があってか、差別的な規定があってもアメリカの軍隊はマイノリティにとってのセーフティネット担っている側面があり、この映画はその実態をリアルに見せる作品になっています。

 アメリカ社会のいち側面が浮かび上がる力作です。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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参考
米軍では入隊制限への反発も! 我が国ニッポン「自衛隊とLGBT」の知られざる現状

松﨑 志麻 | LGBTER|エルジービーター

FTMであることをさらけ出した方が【後編】トランスジェンダー(FTM)〜松﨑志麻〜|LGBTER
 
Thesis

軍隊とマイノリティの微妙な関係

「従軍する権利」をめぐるダブルバインド:1970年代アメリカ合衆国におけるゲイ解放運動とベトナム反戦運動

インターセクショナリティ

軍隊になぜ入って自分を取り戻せるのか

世の中の分断について、この映画から何を言えるか。

今の米軍での性的マイノリティのあり方、日本の場合は
 

質問案

なぜ海兵隊に応募した動機は、映画で主人公が吐露しているものと同じものですか。

監督にとって軍隊とはどういう存在ですか。入隊前と入隊中、除隊後でその軍というものに対しての考えに変化はありましたか

軍隊内での差別はともすれば一般社会よりも過酷にも見えます。海兵隊での体験をポジティブなものとしてとらえているのですか、それとも辛い思い出なのでしょうか。

軍隊での過酷な差別体験が描かれていますが、あなたは海兵隊で自信を取り戻したと語っていますし、映画の主人公もアイデンティティを得たように見えます。なぜ過酷な軍隊生活がポジティブな体験となっているのでしょうか

最終的には、軍の同期たちからも信頼を得て仲間となっているように見えました。彼らは差別をしていたのに、なぜ主人公に対して仲間意識をもてるようになったのでしょうか。

性的マイノリティの貧困率はシスの異性愛者よりも高いとされています。そんな中、海兵隊に入るというのは生活の選択肢としてあったのですか。
 
 
 
構成

Thesis
わかりあえるということ、軍隊という共通体験がもたらすもの

Point3つ

マイノリティのセーフティネットとしての軍隊

矛盾:敵と国がみなしている宗教ですが、海兵隊の中では仲間意識が芽生えていたこととゲイの自分を迫害する国を守ること

バックラッシュへの危機感と無限の可能性があることを伝えたい

Intro

性的マイノリティに対する差別をめぐり、社会は紛糾している。この映画は、明確に彼らが生きる意志を持って生きていることを示す作品。

本作は監督の実体験。同性愛を理由に母に捨てられながらも、愛情を失わず、ホームレスになった青年が、生きる意味を見出すために、海兵隊に入隊する。

※このパート、彼らは隠したり、日の目を観ない場所に生きざるを得ない時があることを伝える。

海兵隊に入隊し、仲間と絆を育む物語、

当時のアメリカ軍は、同性愛がばれれば除隊の恐れもあるなど、むしろゲイに対する実の社会以上に差別がひどい場所でもあるが、奇妙なことにそこでは彼は受け入れられられてもいく。禁じられてもいた

激烈な男らしさに満ちたコミュニティだが、なぜゲイの主人公は仲間となれるのか。

監督に話を聞いた。

– Body1セーフティネットとしての軍隊

母に捨てられた苦しい過去。10年間ホームレス生活を強いられた。

入隊前、そこをどう思っていたのか。というのも、この当時、海兵隊では同性愛を公言してはいけない時代だった。

この時、まだ同性愛は軍隊内で禁止だった。2010年に制定された。

米軍の同性愛兵容認 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas – イミダス

オバマ政権は2011年9月20日、自らが同性愛者であることを公言して軍務に就くことを禁じた「同性愛公言禁止規定撤廃法」を施行した。就任前から禁止規定の撤廃を公約していたオバマ大統領は、規定撤廃を「自己犠牲の精神や勇敢さ、高潔さは性的志向によって区別されるべきものではない。歴史的な一歩だ」と述べた。米軍には、1993年に導入された「Don’t ask, don’t tell (尋ねず、語らず)」というルールがあり、同性愛を公言する兵士は風紀を乱すとの理由で除隊対象となるため、軍隊内では性的志向を尋ねず、同性愛者は沈黙を保つべきだとされてきた。同性愛者であるかどうかを問わないことで入隊を認めるというルールなのだが、実際には同性愛者であることが判明すれば除隊を求められる差別規定とされてきた。人権保護団体によると、93年以降、1万4000人以上が同性愛者という理由で除隊を余儀なくされた。

入隊前にそういう情報は持っていたはずで、どうイメージを持っていたのか。

――海兵隊に入る前と後で、軍隊に対するイメージは変わりましたか。入る前にはどんなイメージを抱いていたのですか。

ブラットン:海兵隊に入る前は怖いイメージしかなかったです。自分の弱点はセクシャリティだと思っていたので、入隊前は一番弱い存在になってしまうのではないかと思っていました。

そんな場所になんで入ろうと思ったのか。

居場所のない生活。。。映画の中で動機について引用する。

ブラットン:フレンチと同じように主な理由は母の愛情を取り戻すため、あとは自分をリスペクトするためでもありました。

そんな自分でも国を守るという生きる意義を見つけられると思った。

ただ、この映画は人種や国籍関係なく、何かしら社会に見捨てられたり、そういう経験をした人に向けて作っています。海兵隊にはいって教官に、仲間を守る任務があるんだと教えられて、そういう生きる意義があるんだということをみなさんに伝えたくてこの映画を創りました。

– Body2矛盾:

敵と国がみなしている宗教ですが、海兵隊の中では仲間意識が芽生えていたこととゲイの自分を迫害する国を守ること

生きる意義を見出すために入った海兵隊で、やはり差別を受けるが、同時に色々な気づきを得る。

そこには、様々な悩みを抱えた人がいた。

ただ、入ってみると、描かれている通り、早く走れるし、強い、みんなと同じなんだと感情が芽生えてきます。同じユニフォームを来ていて、何かしら不安を抱いているんです。自分は本物の男なのかと不安を抱いている。どもりに悩む人や人種的マイノリティなど。

監督は軍隊がマイノリティがセーフティネットを担っていると感じたと言う。バックグラウンドが違うけど社会に馴染めなかった人たちがそこで絆を強めていく

この映画は軍隊に反対しているわけでも勧めているわけでもない。そういう人たちの集まりだと見せたかった。

ムスリムの人が登場する。敵の宗教だが仲間、ファミリー意識はあった。

同じ部隊にエジプト人がいたが、あだながタリバンだった。周りの本当の兵士たちに苦しめられてひどいいじめを受けていたが、彼らもファミリーなんです。イスラム教徒なので、敵と国がみなしている宗教ですが、海兵隊の中では仲間意識が芽生えた。その矛盾は自分がゲイとして感じていたことをまさに同じ

海兵隊は僕にとって家族の1つ。いろんな不条理があって帝国主義的な側面があるが、入る前と後では全くイメージが変わった

同じことが社会全体にも言えると思うと監督は語る。

今、黒人やゲイの人々が肯定的に社会に受け入れられる環境はできてきていると思う。ただ一方で、表向きはそうなんですけど、やはり一部では受け入れない部分がある、
なぜ矛盾があるのかよりも、今の若者に伝えたいのは、彼らには力がある、人の共感を得て社会を変えていけるんだということを伝えたいなと思います。

それはそれ、これはこれ。命を預ける仲間としての意識がここにはある。ジェンダーや宗教で繋がれなくても別のつながりをつくれるのではないか、そんなことを示唆している。共通体験のようなもの?

– バックラッシュへの危機感と無限の可能性があることを伝えたい

軍隊を離れた今、社会の中に性的マイノリティに対するまなざしをどう感じているか。

戦いは続いているし、ある種のバックラッシュも起きている。これからも多くの戦いが必要になるだろう。

ブラットン:世界で白人至上主義というのが勢力を増している。軍隊を出て映画監督として成功して、より多くの人に受け入れられていますし、色々なセクシュアリティを持った人と友人になることができました。でもやはり、これまでもそうですし今もそうですが、常に戦いつづけて要求を主張して自分のスペースを確保するということに苦しんでいると思います。業界が自分を受け入れてくれたことは嬉しいですが、これからもまだ多くの山があると思うんです。ただ、こうして作品を作ることで、観ている人が自分と僕の姿を重ねてくれて可能性があるんだと思ってくれたらありがたいです。

マイノリティには世の中を変えていける力があると信じる。

今の若者に伝えたいのは、彼らには力がある、人の共感を得て社会を変えていけるんだということを伝えたいなと思います。

 
 海兵隊員は誰もが自分に問う。「俺はここにふさわしいか?」

お前は立派に証明した、真の問いは、なぜここにいたいのか。

16歳から自力で生きてきた。今25歳だ。母は口も聞いてくれない。仲間たちは死んだかムショだ。外の暮らしじゃいつか死ぬ。でも、軍服姿で死ねれ・・・こんな俺でも英雄になれる。宿なしのカマじゃない。

公式のプレスシートより
アメリカの軍隊は、性的マイノリティには特別な場所である。たとえば1万5千人ものトランスジェンダーの人びとが所属しており、最大の雇用先と言われる。他のマイノリティや貧困層と同様に、生きていくための選択肢が少ないから、という社会構造があるのである。
しかし、そうした不公平な背景がありながらも、軍隊は肯定的に捉えられる側面もある。一般社会では差別され、不要な存在とされていたマイノリティが、軍隊では、苦難をともにした仲間や、心の通じた上官に承認され、役割を与えられ、成長していく。軍隊は、社会から外れた者たちが、アイデンティティを確立できる場所でもあるのである。
もちろん軍隊にも差別はあるし、一般社会より非道い、とも言えよう。教官が浴びせる侮蔑語や処遇が訓練を逸脱することもあれば、新兵のあいだの差別意識も消えてはいない。
 
 
Trans People in the Military – Why Trans Service Members Enlist

It’s estimated that the U.S. military is the single largest employer of transgender people in the world. But what would possess someone to sacrifice so much of their own personhood on behalf of a country that simply refuses to accept them?

How the Military Became the Country’s Largest Employer of Transgender Americans – Priceonomics

14700 transgender troops – Palm Center
 
 

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メモ終わり。日本では想像することが難しい面がある作品だと思いますが、国を守るという姿勢を見せることで社会に認めてもらうという感情がこの映画にはあります。マイノリティと軍隊のあり方を考える上で基調な示唆を与える作品です。
 
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