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AIと人間の共存というテーマで吉浦康裕監督に話を聞きました

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 リアルサウンド映画部で、AI特集の一環で『アイの歌声を聴かせて』などで知られるアニメ監督の吉浦康裕監督に取材しました。

 吉浦康裕監督が考えるAIと人間の共存 『アイの歌声を聴かせて』制作後に心境の変化も|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 吉浦監督は『イヴの時間』の頃からAIと人の共存の物語を描いてきました。そんな吉浦監督が昨今の生成AIの流行ぶりをどう見ているのかをお聞きしました。

 『アイの歌声を聴かせて』はギリギリのタイミングだった、という言葉がなかなか興味深いですね。こういう時代になったからこそ、やるのが難しい題材になっているという認識のようです。まあ、確かに、アイが歌ってる歌の学習素材はどうしたんだろうとか考えちゃいますよね。もうノイズでしかないですね、そんなこと考えるの。

 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
参考

AI×ミュージカルのエンタメ作品『アイの歌声を聴かせて』 吉浦康裕×大河内一楼対談② | Febri

AIとしての個が認められていく世の中、どちらを描こうとしたのでしょうか?

吉浦 それでいうならば完全に後者ですね。AIはAIだから素晴らしい。クライマックスの展開でも、彼女が人間ではなくAIであると気づくところが転換点になっています。そのくだりを書いたときに、大河内さんがすごくほめてくださったのをおぼえています。

大河内 AIの完成形が人間である、というのは違うなって思います。この作品では、このあとシオン以外のAIもどんどん変わっていくと思うのですが、その変化はAIが人間そっくりになることではなくて、人間とは異なる存在としてのAIが世界に受け入れられるということであってほしいんです。

「AIは下僕ではない」ということをトウマやサンダーが理解して、それが世界に広がっていくんだとしたら。

– 「アイの歌声を聴かせて」吉浦康裕×大河内一楼インタビュー – アキバ総研

僕は幼少期からロボットものが大好きで、しかもAIを題材にした作品を、メジャー感をもってできるような時代になってきたなと思ったので、AIを主軸にしたジュブナイルというアイデアを考え、初稿まで書いたんですけど、オリジナルでやるにはいまいちパンチがないなと……。

**大河内** 吉浦さんの作品ってだいたいそうなんですけど、テクノロジーに対してポジティブなところがすごくあるんですよ。イメージの描き方とか、それが物語でどういう活躍の仕方をするのかとか。ひと昔前だとAIの反乱とかになるけど、そうじゃないところが僕は好きなんです。

**ーーそれに関してはすごく感じました。AIの反乱ものというのはAIが自己進化した結果だと思うのですが、本作でそれを視聴者にどこまで伝えたかったのかなと思いました。**

**吉浦** AIを自分たちと分離して考えているのが僕はイヤで、作っているのも人間だし使うのも人間なので、結局はテクノロジーって写し鏡だと思っているんです。だから使う側が正しければ正しい未来へ行くと僕は信じているし、そこに警鐘を鳴らすということも必要でしょうけれども、AIを扱った作品の8割がその方向性な気がして、だったら自分は、よりよい方向に向かっていくという未来を躊躇せずに描こうと思ったんですよね。ひたすらポジティブに描こうというのは、最初に決めていたところです。

**大河内** 作中で危険性を指摘するのって、ミュージカルシーンで最初みんなが引くというのと同じで、監督の持っているポジティブな精神って、みんなが当然のように持っているものではないので、「え?」って思う人もそれなりにいることはわかったうえでやっているんです。自己進化する危険性を唱える意見もあるけど、それを乗り越えてやっているんだよ、というふうにできたらいいと思ったので、反対の人(AIを恐れる人)も置きたいなと思った、ということなんです。

– 『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー! | CINEMAS+

僕がこの『アイの歌声を聴かせて』で最低限に引いた線は、「AIが人間の想定する枠組みから外れるんじゃないかと怖く思う人もいる」上で、「この映画で描こうとしていることはそうじゃない」ことでした。

シオンというAI&ハードウェアの能力は、本映画における「大きな嘘」です。その代わり、それ以外のAI関連の描写には自分なりのリアリティラインを設けました。「既存のインフラに後乗せする形でAIが使われている」「人型ロボットは一般家庭ではやんわり拒絶されている」など。

– 「アイうた」吉浦康裕監督がシオンの着想明かす、大河内一楼とのタッグ結成秘話も(イベントレポート) – コミックナタリー

IT業界で働いているという観客から、今の日本社会のAIに関する倫理観にはそぐわない描写もあることについて聞かれると、吉浦監督は「本当は法律上、倫理上よくないとされてる描写もありますが、正しいことだけを描くことがエンターテインメントではないと考えています」「AI社会の未来のポジティブな世界観を作品で表現したかった」と回答する。

(426) こだわり抜いた“歌”の表現『アイの歌声を聴かせて』 吉浦康裕監督 独占インタビュー/【二次通クリエイターインタビュー File.12】 – YouTube

– 吉浦康裕 INTERVIEW|独自のSF世界を創り続ける吉浦監督が『アイの歌声を聴かせて』で描く、歌がAIと人間を繋ぐ青春物語 | Toon Boom Animation

僕は『SFこども図書館』(全26巻、1976〜77年、岩崎書店)という、ド定番の古典SFを子ども向けの文章にまとめ直したシリーズを子どもの頃に読んだのがきっかけでSF好きになったんですが、その中でもアイザック・アシモフ(1920〜92年)の『われはロボット』(1950年)で、子どもながらに衝撃を受けたんです。アシモフが描くロボットって論理で動く非常に科学的な存在なんですよ。以来これが自分のロボット観の基礎となっています。だから、やたらとモンスターとして描かれるロボットも違うし、逆に人間扱いされすぎるロボットもあまり好きではなくて。これまでの作品はもちろん、『アイの歌声を聴かせて』でもそこは共通しています。先ほど、「内容を見てもらえば今までの僕の作品だと分かるだろう」と言ったのも、この共通した軸があるからというのもありますね。

– 『アイの歌声を聴かせて』 吉浦康裕(原作・脚本・監督)×大河内一楼(共同脚本)スペシャルインタビュー | V-STORAGE (ビー・ストレージ) 【公式】

**吉浦**オリジナルで映画を作ることになった時、まず思いついた題材がAIでした。幼少期にアイザック・アシモフの“ロボットもの”を読んで以来、ずっと興味を持ち続けているジャンルなんです。しかもAIというキーワードが身近になった昨今、以前制作した『イヴの時間』(※)のようなテーマを、よりメジャー感をもって描ける時代になっているんじゃないか、とも考えました。……そこで脚本を書きはじめたんですが、この二つの組み合わせだけだと何か足りない。そこで、以前別の企画で接点があった大河内(一楼)さんに脚本を見てもらおうと考えたんです。

**吉浦**そうですね。AIとして成長してネットの世界に戻るという、ある意味SFとして定番のラストではあると思います。ただそれをハッピーエンドとして描くために、いろいろ工夫をしたという感じでした。

– 吉浦康裕③コメディに開眼した『イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?』 | Febri

――アンドロイドと人間社会の関係性が大きなテーマとして描かれています。
吉浦 AIが人間のようなリアルな造形で家庭に普及した場合――たとえば、それが顔立ちの整った女性型アンドロイドだとしたら――思春期の男の子からすれば複雑な思いを抱えざるを得ないという状況にフォーカスできれば面白いと思いました。もうひとつ、アンドロイドの頭上に識別用のリングがあるのですが、ある空間ではそれが消えて、彼らの本音が垣間見える。人間かアンドロイドかわからなくなる舞台装置(=喫茶店)を思いついたとき、「これはイケるぞ」となったんですよね。

――人間とAIの関係性が変化する状況を描けると。
吉浦 しかも、描き方としては硬くなく、少年の思春期モヤモヤ視点で(笑)。そんなアンドロイドと人間の区別がつかない状況でやれるアイデアを6話の中で出しきったのが『イヴの時間』です。

– イヴの時間 劇場版 インタビュー: 「原点は、アシモフの小説」吉浦康裕監督インタビュー – 映画.com

吉浦康裕監督は言う。「喫茶店『イヴの時間』でロボットが“人間らしく振舞う”という条件を成立させるためには、店の外でロボットが“その対極の扱いを受けている”という事実を描く必要がありました。その結果として家電製品という扱いに落ち着いたわけです。奴隷ではなく家電かな、と。一見すると人間そっくりな姿の存在に対して、そのような扱いはショッキングかもしれませんが、アンドロイドが実際に日常生活の中に存在した場合をリアルに考えると、そうした価値観もありえると自分は考えています」

3月6日公開の映画「イヴの時間 劇場版」の吉浦康裕監督に作品や今後についてインタビューしてきた – GIGAZINE

『イヴの時間 劇場版』吉浦康裕監督ロングインタビュー(前) | アニメイトタイムズ

– 『イヴの時間 劇場版』吉浦康裕監督インタビューVol.1

アシモフの作品に出てくるロボットはあくまでもロボットで。ロボットは自分のことをロボットと分かって、ロボットとして、ちゃんと存在している。自立している存在。それがすごい好きだったんですよ。それをなぞったということですね。

(編)人間とロボットが互いに違っている。ということを互いが認識していると。その中での日常生活の中での関係性ということですか。

(吉浦監督)強いて言うなら人間のほうがまだちょっと”分かってない”。どうロボットと接していいのか戸惑っている。ロボットは分かっているけれども、人間のほうはやっぱりまだ不信感を持っていたり。過度に思い入れをしている人がいたりして、それが社会問題になったりと。ですから、物語の最初のテロップで、ロボットは実用化されて久しいんだけれども、人間型ロボットは出来て日が浅い。アンドロイド社会が成熟する前の段階。そういうつもりで最初にあのテロップをいれました。

(編)ロボットのことばかり聞いて申し訳ないんですが(笑)ロボットというものを描くと、何故、人間が何なのかということが見えてくるんでしょうか?

(吉浦監督)いいですよ(笑)そうですね~。写し鏡といいますか。結局さっきも言った通り、アシモフの世界観でいうとロボットの自意識というものは揺るがないものですから、それに対して人間がどう反応するかは、全部結局人間側の描写になってしまうのかなと。ロボットが悩む訳ではなくて、悩むのは人間でしょうから。結局、接点を見るとこっちが軸がしっかりしているから、それに振り回される人間の描写になってしまうのかなと。と思うんですけど。あんまり考えたことがないので僕は(笑)

3.アンドロイドはピノキオの夢を見るか(1)「AI」「ヒューマノイド」とロボット三原則|川口秀樹

質問案
吉浦監督は、AIフレンドリーな作品を作っている印象ですが、なぜですか。

アイの歌声を聞かせての時、AIという題材をメジャー感をもってやれる時代になってきたということを仰っていたのですが、今はどう思いますか。むしろ、いたるところで言われるようになって、メジャーすぎるものになってきたというか。この2年でもっとメジャーになりましたが、どう感じていますか。

イヴの時間では、ロボットと人間を区別しないカフェを描いていますが、あれはあの作品世界の中では、特別な空間ですね。現実には倫理委員会がAIと人間を混同するなと言って回っている。あういう存在は現実にも出てくると思いますか。

イヴの時間では、ロボットが家電として扱われている。この設定は、現実でAIの規制を考える上で、多分AIには道具であってほしいと考えている人が多いのではないか。吉浦監督はAIやロボットをただの道具として観ることに賛成か。

ドリ***系について、ロボットに精神依存するのは良くないものという社会の認識がありそう。これは監督はどう思っているのか。***

AIの創造性についてどう考えるか。イヴの時間では、ピアノを引く***ロボット***ピアニストの演奏に負けた事がショックでピアノを辞めた

アイの歌声を聞かせては、AIとしての個が認められていく世の中、どちらを描こうとしたのでしょうか?

アイの歌声を聴かせてはSF映画のつもりで作ったか。

世の中について

2023年のAIを巡る議論、吉浦監督は注視していますか。どう感じていますか。AIと人が共存できるいい方向に進んでいると感じますか。

ロボットやAIの心の問題を考えると、それは人間の心を考える問題だと思いますか。

端的に、AIに人間のような権利が認められるべきだと思いますか。

今の大規模言語モデルのAIの発展を面白く感じていますか。それとも、吉浦監督の思い描く明るい未来とは少し違いますか。

現在の言語モデルは言語の繋がりを確率的に知ってるだけで意味は理解していないと言われます。しかし、それで出力されるアウトプットは、人間から観ると意味を理解し心があるようにも見える。心や意識の存在を吉浦監督はどう捉えますか、あるいは今までどう描いてきたのですか。

日本のアニメや漫画には、しばしば友好的なAIは登場しています。ドラえもんとか。一方で最近のアメリカ映画では、AI脅威論が盛んになってきている印象があります。ハリウッドでもAIを巡ってストライキ起きていますが、映像産業にどんなインパクトがあると思いますか。

 
 
構成 8月31日
 
 
Point3つ

AI脅威論でも、人になろうとするでもなく、中間的なものを目指す

今なら違うものになるかもと感じている。

創作とAI、現実に及ぼす影響

 
 
Intro

おそらくAIの開発・研究にもフィクションは影響を与えてきた。フィクションの力を信じる作家の吉浦監督は、AIと人が絆を育む作品を作り続けてきた。

昨年から今年にかけて生成AIの急激な進化で、AIというものが日常生活レベルで身近なものになりつつあり、社会の中で期待と不安がないまぜになっています。

アシモフの大きな影響を受けた彼は、AIの急激な進化に揺れる今をどう見ているか。自身のAIを題材にした創作の哲学とともに聞いた。
 
 
Body1 AI脅威論でも友達になりすぎるでもない中間的なもの
– 吉浦監督の作品は、AIと人が共存する物語を描いているが、その動機は中間的なアプローチを好むため。
– 監督はアシモフの作品に影響を受け、ロボットを人間と同じように接するべきではないと考えている。
– AIはAIのままでいてほしいという監督の価値観が反映されている。
– 監督はAIを描く際、人間のようでありながらも一途な特性を強調することが好き。
– AIの脅威論が描かれる作品も好むが、ただし納得できるロジックがある場合に限る。
– 監督は漫画版の攻殻機動隊のタチコマの議論が好きで、ロボットの行動にはロジックがあるべきだと考える。
– AIやロボットと人の絆を描く作品では、作り手の思いとのつながりを強調している。結局は人とのつながりを描くことになる
– AIの著作権に関する議論について、監督は自身を持って立場を決められない、難しい問題
 
 
Body2 アイの歌声を聞かせてはギリギリのタイミングだった
– 吉浦監督は、作品にはSF要素があるが、日常的な世界観も取り入れることで、多角的な視点から楽しめる作品を目指している。
– AIやロボットの描写には、実際の技術動向や日常生活の進化を考慮し、リアリティを追求している。
– 『アイの歌声をきかせて』の公開当時は、AIが身近になりつつある時期であり、AIを題材にした作品が作りやすい状況だと感じていたが、今は技術の急速な進化により、制作の難しさが増している。
– 『イヴの時間』はアシモフのような古典SFを目指した
– 監督はAIに関する様々な葛藤や懸念を取り入れつつ、複雑な人間性を描く作品に興味があると述べている。
– AIと人間の関係が良好になるためには、技術の受け入れとルールの確立が必要であり、現在の急激な技術進化により、安定したフレームが見えず不安が広がっていると指摘している。
 
 
Body3 創作とAI 現実に与える影響
– 吉浦監督は、創作におけるAIの影響について深く考察しており、現実の技術の進歩や社会の変化を作品に反映させている。
– 「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」という言葉が好き
– AIが創作においてもたらす新たな可能性について、楽観的な視点と慎重な考え方の両方を持っている。
– 技術の進歩は止められない、どう折り合いをつけていくか。
 
 
—————
 
 
 メモ終わり。

 AIと人との関係についてずっと考えてきた吉浦監督だからこその含蓄ある発言が多かったです。面白いインタビューでした。

 この分野ではとりわけフィクションが現実に及ぼす影響が多いものだと思います。やはりAIのイメージを最初に与えたのはSF作品だったと思いますから、現実の技術開発に創作が影響を与えていると思いますから、よい作品を作っていい影響を与えることも創作者にとって大事なことかもしれないですね。
 
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